むち打ちで身体障害者認定は受けられる?
交通事故に遭われた方の中には、後遺症に対して身体障害者認定を受ける方もいます。
また、弁護士に対する相談に交通事故のむち打ちの後遺障害認定の内容のものがありますが、併せて身体障害者認定が取れるのかと言う相談をされる方もいます。
稀に、交通事故で後遺障害認定を受ければ身体障害者認定が受けられると考えておられる方もいますが、後遺障害認定と身体障害者認定は全くの別物で、相関的なものではありません。
そのため、後遺障害等級の5級を取得したからと言って、直ちに身体障害者の5級が取得できるものでもありませんし、逆もまた然りです。
もともと、後遺障害等級は交通事故における損害訴訟金の算出のために行われるものであり、国が身体障害福祉法により定める身体障害者認定とは全く性質が違うからです。
後遺障害等級とは、症状固定時にある継続的に続く症状を後遺症と認定するもので、改善や完治しないと言う事が前提にあります。
しかし、身体障害者認定は現在の症状に対するものであるので、回復や完治により身体障害者の等級の変更や取り消しもあり得ます。
むち打ちは身体障害にあてはまらない?
では、むち打ちが身体障害者として認められるかというと、かなり難しいと言わざるを得ません。
後遺障害等級12級は画像所見が、14級では医師の所見が認定の決め手となるのですが、14級であれば画像所見や医学所見が必要な身体障害者として認められないと言えます。
画像所見のある12級であっても、同様と言えます。
そのため、むち打ちで激しい痛みがあり、首が動かせないといった症状がある場合でも、身体障害者として認められないと言う事になります。
後遺障害認定が認められているのに、身体障害者認定が受けられないのは、理不尽に感じるかもしれませんが、むち打ちの症状がある人をすべて身体障害者と認定してしまうと、膨大な数の身体障害者が生まれることになります。
また、身体障害者の認定を受けたからと言って、大きな社会保障を受けられるかというとそうではありません。
税金の軽減はありますが、一番軽い身体障害者7級ですとほとんど健常者と同じような扱いですし、医療費の軽減も1~2級に限るとしている自治体もあります。
そのため、むち打ちの症状で身体障害者の認定を受けたいというのは現実的ではないと言う事になります。
ただ、むち打ち以外に身体障害者に該当する症状を抱えている場合には、認定を受けるのも一つの手になりますので、医師や弁護士に相談をした方が良いでしょう。
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むち打ちは神経症状を証明するにあたって、本人が主張する自覚症状のみで客観的な証拠に乏しいため、後遺障害を認めてもらうには、立証する証拠や通院記録を残すことが大切である。
むち打ち症で後遺障害等級が認定されるのは12級か14級で、両者では損害賠償請求額に大きな差が出てくる。12級に該当する症状があるなら、認定を受けられるような診断書の提出が必要である。
交通事故の被害者本人が、むち打ちだと思うのが自覚症状(自覚所見)で、医師がMRIなどの画像でむち打ちと判断するのが医学的他覚所見である。
むち打ちの治療期間は大半の患者が2週間以内ではあるが、長期にわたる場合があり、医師から適切なアドバイスを受けて治療期間を決める必要がある。
むち打ちとなって治療を受けても症状が良くならないことが明らかになったら、後遺障害診断書を書いてもらえば、むち打ちによる後遺障害等級認定の申請ができる。