交通事故によるむち打ちで後遺障害を認定してもらうためには
衝突事故などで生じた首の痛みなどを総称して『むち打ち』と言いますが、むち打ちの多くは筋肉の損傷なので、安静にして筋肉の傷が癒えれば完治するため、『むち打ち=軽微な怪我』と思われがちです。
しかし、むち打ちが起きている原因は多岐にわたるため、数週間安静にしていても治らないケースもあります。
交通事故でむち打ちを受傷し、数か月治療を続けても痛みやしびれなどが改善しない場合は、後遺症として認定して後遺障害慰謝料の支払いを受けるのですが、すんなりと後遺障害と認められるとは限りません。
むち打ちと称される首の痛みですが、先にあげた筋肉の損傷以外にも、頸椎(首の骨)がずれたことによる痛みや、頸椎内にある脊髄が圧迫されて神経痛などを引き起こしているケース、脊髄に損傷があり麻痺などを引き起こしているケース、脊髄から枝分かれしている神経が損傷しているケースなど様々にあります。
頸椎がずれている場合や、脊髄が損傷している場合などで、MRIやCTなどで患部が見える場合には理由がはっきりとしているため、治療を続けても改善されない場合は、それが原因として後遺障害と認定されやすくなります。
むち打ちで後遺障害認定を受けるには?
むち打ちで後遺障害認定を受けるために重要なのが、医療的な見解と治療の実績です。
MRIやCTなどの医療的な画像証拠がない場合、医師の診断書が重要となってきます。
画像証拠がない状態でも、医師が治療の経過を見て『交通事故を起因とする頸部の痛みがあり、後遺症と認定する』との所見があれば、後遺障害認定の大きな後押しとなります。
そのため、入院・通院時の態度や治療頻度が大切になってきます。
入通院中に、「そんなに痛みはないけど、とりあえず治療しておいてください。」といった態度であれば、医師からも『そんなに重症そうでもないし、通院しているのは保険金目当てかな?』と詐病を疑われてしまいかねません。
逆に1か月たっても2か月たっても良くならないからと、「治療方法が悪い!自分は被害者なんだぞ!」と医師に食って掛かるような態度であれば、後遺障害認定において医師の協力は得られなくなるばかりか、「痛いと言ってるけれども、医療的な見解からは治ってるので、治療は打ち切りで。」と保険会社と内通する可能性もあります。
また、仕事が忙しい、通院が面倒と、通院の頻度を減らしたり、辞めてしまうのも厳禁です。
『通院しない=完治した』とみなされてしまい、後遺障害認定を受けるのが難しくなってしまいますし、前の治療日から2週間以上たってから「首の痛みがひどくなった」と言って治療に来られても、その間に別の理由で首に損傷を負ったと邪推されてしまいます。
判例などからも最低でも週1回の通院が3か月以上なければ後遺障害の認定が難しくなりますので、自己判断で通院を辞めるのではなく、医師や交通事故に強い弁護士にアドバイスをもらい通院を続けるようにしましょう。
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交通事故により負ったむち打ちを後遺障害と認めてもらうためには、医師の助言のもとに定期的に通院治療をしつつ、怪我と治療に関する記録を残しておくと良い。
むち打ちを後遺障害として認めてもらうためには、医師の助言のもとに定期的に通院治療をしつつ、怪我と治療に関する記録を残しておくと良い。
むち打ちは神経症状を証明するにあたって、本人が主張する自覚症状のみで客観的な証拠に乏しいため、後遺障害を認めてもらうには、立証する証拠や通院記録を残すことが大切である。
医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
むち打ちで後遺障害認定を受けるのは意外に難しく、治療期間や通院期間の他に、医師の所見が重要となるため、日ごろの医師との付き合い方が重要となる。