むち打ちの他にも後遺症が残った場合、後遺障害等級は?
交通事故に遭った被害者の怪我が1カ所だけということは珍しく、多くの方は、2カ所以上を怪我しています。
複数の後遺症が残って、いずれもが後遺障害と認定された場合を「後遺障害の併合(へいごう)」と呼びます。
むち打ちは、車が衝突した衝撃で首が可動範囲を超えて激しく動いたため、首とその周辺の組織を損傷して発症する外傷です。
低速度で追突されてもむち打ちになりますが、正面衝突、右左折時の衝突などの重大事故でも、衝撃の方向によってはむち打ちになることがあります。
むろん、速いスピードで衝突し、強い衝撃を受けるほど重度のむち打ちになりますし、骨折などの重傷を負うこともあります。
車が衝突する際の衝撃は、日常生活でわたしたちが体験しないような方向から一瞬で体を襲うので、しばしば複雑骨折などの治りにくい怪我をします。
むち打ちがなかなか治らないし、骨もなかなかくっつかない・・入通院が長引き、いつまで経っても損害賠償について話し合いが始められない場合は、主治医と相談して症状固定をして、後遺障害等級の認定に向けて手続きすることを検討しましょう。
後遺障害の併合で等級は上がる?
たとえば、骨の損傷がひどくて元の状態に戻らない場合、偽関節(ぎかんせつ)ができることがあります。
偽関節とは、本来動くべきところでない箇所がぐらぐら動くことで、偽関節ができるということは、骨折した骨がくっつくのをやめたとみなされます。
偽関節ができると、骨折した部位を動かすたびに痛みを感じ、日常生活に支障が生じます。
自賠責保険の後遺障害等級では、上肢または下肢に偽関節ができたままになって、著しい運動障害が残る場合は、第7級に該当します。
むち打ちが後遺障害に認定される場合は、第12級もしくは第14級のいずれかです。
偽関節が第7級と認定され、むち打ちが第12級と認定された場合、後遺障害が併合されます。
複数の後遺障害があり、それぞれが違う系列の身体障害である場合、以下のように併合します。
・第5級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある=より重い等級を3級繰り上げ
・第8級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある=より重い等級を2級繰り上げ
・第13級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある=より重い等級を1級繰り上げ
・その他の場合=併合等級は一番重い等級
前述の例で、第7級と第12級の後遺障害が認められた場合、「第13級以上に該当する後遺障害が2つ以上ある」に該当するので、第7級が1つ繰り上がった第6級が併合等級になります。
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交通事故によりむち打ちとなり、後遺障害認定を申請する場合は、客観的事実を積み重ねていけば、後遺障害等級12級または14級と認定される可能性がある。
むち打ちは神経症状を証明するにあたって、本人が主張する自覚症状のみで客観的な証拠に乏しいため、後遺障害を認めてもらうには、立証する証拠や通院記録を残すことが大切である。
交通事故でのむち打ちで後遺障害認定を受けるには、継続通院、事故の程度と因果関係、症状の一貫性・連続性、医学的証明、認定基準となる症状の5つの要件をクリアする必要がある。
一般的にむち打ちで後遺障害等級認定を受けるための条件は難しいとされる。画像検査に写らない、本当に症状があるか分からないなど、様々な理由がある。
交通事故により負ったむち打ちを後遺障害と認めてもらうためには、医師の助言のもとに定期的に通院治療をしつつ、怪我と治療に関する記録を残しておくと良い。