交通事故の依頼を弁護士に依頼をすると、必ず裁判になるものですか?
【質問】
半年ほど前に、自動車同士の交通事故を起こしたのですが、相手方と過失割合や補償の範囲などでもめています。
お互い加入していた保険会社を通じて交渉をしているのですが、事故現場での態度や自分に有利になるように嘘の証言をしたり、挙句の果てには後続車のドラレコの映像で自分の証言が嘘だとばれると、その方に脅迫めいた文句を言いに行ったりと、かなり問題がある人です。
そのため、弁護士特約を使って弁護士に相手方や加相手方の保険会社との交渉を任せたいと思っています。
しかし、裁判になると大変ですし、解決までに時間がかかりすぎるため、弁護士に依頼するのを迷っています。
弁護士に依頼をすると、必ず裁判となってしまうのでしょうか?
【回答】
テレビドラマなどで「弁護士=裁判」のイメージが強いですが、実際には裁判よりも事前の話し合いによって和解をする方が圧倒的に多いです。
借金問題や離婚問題なども実際に裁判にまでもつれ込むことは少なく、弁護士を介しての双方の話し合いで決着したり、裁判の一つ手前の裁判所の調停で解決することがほとんどです。
交通事故でも、弁護士と保険会社との話し合いで解決することが95%以上で、特殊な事例でない限り裁判となる事はありません。
なぜならば、多くの弁護士は話し合いで決着することを目標としているからです。
裁判をすると依頼主の金銭的な負担が増えるだけでなく、多くの時間も費やさせることになり、精神的な負担も強いることになります。
なので、「保険会社と裁判になるギリギリまで交渉を重ねて、依頼主が納得できる補償金を手に入れる」と言うのが、弁護士のセオリーになって、無駄な裁判をなるべく減らすようにします。
また、保険会社も弁護士と裁判になる事を望んでおらず、出来るだけ回避したいと考えています。
弁護士が交渉してくる内容は、ほぼ今までの裁判の判例に基づいてのものなので、裁判をしても負ける可能性が非常に高く、敗訴となった場合には裁判費用などの負担をしなければならないため、裁判をせずに話し合いに応じた方が得だと考えるからです。
何より弁護士も依頼主の希望を無視して、勝手に裁判に踏み切ることはないので、初めの相談時に「裁判ではなく示談で解決したい」と伝えておけば、その方針で保険会社との話し合いをしてくれるため、安心できると思います。
反対に「保険会社と裁判をしたい」と言う希望を言われる依頼主もいらっしゃいますが、まずは弁護士が仲立ちとなった話し合いを重ね、それでも納得いかない場合は裁判をすると言う手順を踏んだ方が良いでしょう。
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生活保護者の死亡事故の場合は無職として扱われるため、逸失利益が認められないが、交通事故がなければ再就職していた可能性が高い場合には、逸失利益が認められることもある。
交通事故の加害者に損害賠償金以外の要求をしたい時には、刑事裁判の被害者参加制度を使い、被害者家族の心情の陳情をしたらよい。
自動車に無償で同乗する好意同乗であっても、近年では好意同乗を理由に同乗者への減額はされない傾向が高い。
自動車保険に弁護士特約が付帯しており交通事故の示談に利用する際、保険会社の承認が必要です。弁護士費用の支払いは保険会社から直接弁護士事務所にされるものもあり、利用しやすくなっているものもある。
交通事故の損害賠償金が少なくて弁護士に依頼をためらっている場合には、弁護士費用特約に加入しているか確認をしたり、少額訴訟を検討してみると良い。