交通事故の被害者が身元不明だった場合はどうなる?
【質問】
2カ月ほど前に、車道で泥酔していた男性をはねて死亡させてしまいました。
警察が調べたところ、被害者の男性は路上生活者で、誰も男性の本当の名前も戸籍上の住所も知らず、住んでいたと思われる場所も検証したそうですが、男性の身元につながるものは一切発見できなかったそうです。
そのため、警察の方も「被害者:身元不明」で交通事故の調書を作成しています。
私の方は、交通事故が起きてすぐに加入していた保険会社に連絡はしましたが、被害者が身元不明であるため、示談も何もできていない状況です。
死亡事故の場合、刑事裁判の時に示談が済んでいないと、量刑が重くなると聞いたことがあります。
今回の事故では示談をしたくても出来ないような状態なのですが、問題はないのでしょうか?
また、相手が身元不明のままであれば、示談をする必要もないのでしょうか?
もし、何年も経ってから被害者の身内が訴え出てきたとしたら、死亡事故の慰謝料は支払わないといけないのでしょうか?
【回答】
交通事故の被害者が身元の分かるものを身につけておらず、身元判明までに時間がかかるということがありますが、本当に被害者が身元不明者という場合もあります。
その場合、裁判などでは「被害者は身元不明者」という形で進められるため、加害者側の刑事責任などは通常の交通事故と変わらず科せられることになりますが、それにより量刑が重くなるということはありません。
裁判までに示談が済んでいないことを気にされているようですが、裁判所の方も身元不明のため示談交渉が出来ないというのは理解しているため、その点については量刑の判断材料とはしないと思われます。
もしも被害者が生きていれば被害者本人と示談交渉をするのですが、亡くなっているため、通常ならば法定相続人が相続権を引き継ぎます。
しかしながら、被害者が身元不明であることから法定相続人が誰か分からないため、示談交渉は行われない可能性が高いです。
保険金の請求権には時効があり、交通事故から3年以内とされていますので、時効までに身元不明者の遺族が判明し、その遺族が保険会社に請求をしなければ、損害賠償請求されることはなくなるということになります。
質問者の場合は自動車保険に加入しているため、万が一遺族から損害賠償請求された場合には、保険会社を通して話をすればよいことになりますので、もし直接遺族から連絡があった場合には、早急に保険会社に連絡をしましょう。
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交通事故の被害者が交通事故以外の原因で死亡した場合には、加害者は死亡日までを補償すればよい。
交通事故の交渉で、「示談」「調停」「裁判」の違いは、示談は当事者同士の話し合い、調停は話し合いの場に裁判所の調停委員が立ち会う、裁判は文字通り裁判で内容を決めることを言う。
交通事故の示談を弁護士に依頼している場合には、裁判となった場合でも弁護士に任せて出廷しないことも可能である。
交通事故の示談を任せる弁護士選びのポイントは、交通事故に精通していて、フットワークがきく近隣に弁護士事務所がある弁護士で、相性が合うと思った場合に依頼をした方が良い。
交通事故の示談前に加害者が失踪した場合には、損害賠償請求することは難しくなるが、加害者側に保険会社がついていれば、保険会社に引き続き請求できる。