加害者の持病が原因の交通事故、補償はどうなる?

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交通事故に関するQ&A

加害者の持病の発作による交通事故の損害賠償請求はできる?

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【質問】
先日歩道を歩いていたところ、突然自動車が暴走して歩道に乗り上げて、はねられました。
私は全治3カ月の骨折を負う大怪我で、現在も病院に入院中です。

交通事故の現場で加害者の運転手を見かけましたが、意識を失っているようでぐったりとしていました。
警察の事情聴取で聞いたところ、加害者にはもともと糖尿病の持病があり、交通事故も加害者が低血糖症になり気を失ったことが原因だと言われました。

交通事故を起こす危険性のある持病があるにもかかわらず、運転をしていた加害者に怒りを感じています。
しかし、以前ニュースで「てんかんの発作が原因の死亡事故で、被害者への救済がされないのでは?」といったことが話題となっていたため、もしかしたら自分も保険金が支払われないのではないかと不安で仕方ありません。

入院代も馬鹿にならず、しかも会社を3カ月も休まなければならないため、加害者にきっちり損賠賠償金を支払ってもらわなければ割にありません。
加害者の持病が原因の交通事故の場合、補償はしてもらえないのでしょうか?


【回答】
交通事故の場合、加害者に責任能力があるかないかがポイントになります。

民法713条で「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない」と責任能力について言及しています。

刑事事件などでよく聞く「心神耗弱状態」や「泥酔状態」というのも、「弁識する能力を欠く状態」に当たるため、被害者や世間の意見に反して無罪判決が出るのもこのためです。

そのため、低血糖症などで事故を起こす危険性のある持病があるにもかかわらず、運転をした場合に、責任能力が問えないのかというと、判例では責任能力があるとされています。

民法709条では「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」となっており、交通事故の被害者の救済は民法713条より優先されるという考えによるものです。

そもそも、道路交通法の第4章第66条に「何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」とされているため、持病があるのに運転すること自体が道路交通法に抵触するとも考えられます。

自動車保険は「被害者保護を第一」としていますので、保険金が支払われる可能性は十分にあるため、加害者が任意の自動車保険に加入していないか、調べてみた方が良いと思われます。

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