交通事故でむち打ちとなった場合の示談金の内訳は?
国土交通省が発表したデータによると、「1年間で交通事故に遭う確率は0.9%、一生涯では53%」となっています。
つまり、交通事故の規模が異なりますが、2人に1人は交通事故に遭っている計算になります。
また、交通事故の受傷度の割合をみると、約7割がむち打ちや打ち身などの軽度の受傷となるため、単純計算で3人に1人は交通事故によるむち打ちや打ち身の経験があると言えます。
「交通事故でむち打ちになった人は、結構身近にいる。」と感じると思いますが、「むち打ちの示談の相場はどのくらいなのか?」となると、詳しくは知らないという人がほとんどなのではないでしょうか?
「むち打ちの示談金で30万円もらった。」、「交通事故でむち打ちになったけれども、加害者から示談金を1円ももらえなかった。」、「追突されてむち打ちになったから、ごねて200万円もらった。」などなど、人によって話が大きく違ったり、知人の友達の話で信ぴょう性が薄かったりと、はっきりとはわからないというのが多いと思います。
交通事故の状況により変わる示談金
そもそも交通事故の示談金は法律的には損害賠償に当たるため、『治療費』・『休業補償』・『通院(入院)慰謝料』の3つが大きな項目になります。
治療費は、むち打ちの治療の実費に当たるため、被害者的には支払った分をそのまま加害者に請求、もしくは加害者が直接医療機関に支払うため、被害者側からするとプラスマイナス0円か持ち出しでマイナスとなる事が多いです。
休業補償は、医者の指示で治療のために自宅療養したり、仕事を休んで病院に行ったりして、給料が減額した場合の補償に当たります。
専業主婦の場合も逸失利益が発生しますし、有給をつかったり半休であったりしても、逸失利益を請求できます。
通院(入院)慰謝料は、通院や入院をした肉体的・精神的慰謝料に当たります。
むち打ちが治るまでは体に痛みがあり、痛みにより憂鬱になったりイライラしたりするため、その事に対する慰謝料になります。
自賠責保険基準では、『4,300円×治療期間(病院に通っていた期間)』、もしくは『4,300円×実通院日数(実際に病院に通った日数)×2』のどちらか低い方になります。
もし、1か月間で10日通院したとすると、
4,300円×30日間=129,000円
4,300円×10日×2=86,000円
低い方の金額となるので、86,000円が、通院慰謝料になります。
例えば、交通事故の被害者が月給30万円(日給換算1万円)、完治までに1か月かかり、会社を休んで10回通院して、1回の治療費が1万円だったとします。
治療費 1万円×10=10万円
休業補償 1万円×10=10万円
通院慰謝料 4,300円×10日×2=86,000円
合計286,000円が、示談金となります。
意外と多い・少ないと感じ方は様々でしょうが、治療費は実際には病院に支払っていますし、休業補償は給料がマイナスになっているのですから、被害者が得られたものは通院慰謝料の86,000円だけというのが実情です。
「むち打ちで200万円もらった。」と言っても、よくよく聞いてみると全損した自動車の修理代の150万円が含まれていたり、1年間通院してたからといったようなことがあり、単純に金額だけで判断するのは危険と言えます。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故で保険会社が介入している場合、様々な理由からむち打ちの治療を早期に打ち切ろうとする傾向がある。
交通事故によりむち打ちとなった場合、むち打ちが完治するまで治療を続けると治療費が増えるので、治療を終えるまでは損害賠償請求ができない。
自賠責保険の怪我の治療費などの支払い上限は120万円であるため、むち打ちの治療費などが120万円を超えると、保険会社は治療費の打ち切りを言ってくることが多い。
むち打ちの治療で整体院の利用を保険会社に断られた場合、整体院の方から連絡をしてもらうからめ手を使うことも効果的である。
身体の構造上、交通事故に遭うとむち打ちになりやすく、日々の習慣から首を動かしてしまうため、治りにくいときがある。軽度のむち打ちで治りが遅い場合、詐病にみられる事もあるので注意が必要である。