自賠責保険で支払われるむち打ちの治療費はいくら?
交通事故でむち打ちを負った際に、「相手がちゃんと治療費を支払ってくれるだろうか?」、「治療のために会社を休んだが、その分の補填をしてくれるだろうか?」と不安になる方もいます。
なかには「交通事故の加害者は自動車保険に加入していたので、いくら治療費がかかっても保険会社が支払ってくれるだろう。」と、楽観視している方もいますが、実際にはそうではありません。
むち打ちの治療を始めて2カ月もすると、「むち打ちだけで、1か月以上も治らないのはおかしい。治療費の支払いを打ち切ります。」と言ってくることの方が多いです。
保険会社は営利団体ですので、保険金はなるべく支払いたくないというのが実情ですが、他に自賠責保険が関係しています。
保険会社から支払われる保険金は、実は対応している保険会社が全額支払っているわけではありません。
公道を走る自動車は自賠責保険に加入が義務付けられているので、まずは自賠責保険から治療費などの支払いがなされます。
自賠責保険の上限を超えた場合には、その分を保険会社が支払うというシステムになっているのですが、反対に言えば自賠責保険の限度額内で示談がおさまれば、保険会社からの持ち出しは0円ということになります。
自賠責保険の上限は120万円
自賠責保険の怪我に対する保険金の上限は120万円です。
「むち打ちで済むような怪我なら、120万円もあれば治療費は足りるのでは?」と思われるかもしれませんが、自賠責保険の保険金の支払い範囲は治療費のみならず、文書料、休業損害、慰謝料も含まれます。
交通事故による治療は基本的に健康保険が使えず、全額負担となります。
「交通事故では怪我をさせた人がいるのだから、怪我をさせた人が支払う。」というのが、交通事故による治療の考え方になります。
被害者が『第三者行為による傷病届』を提出すれば、健康保険を利用することができますが、あくまで健康保険組合が一時建て替えをして、加害者側に請求するため、全額負担なのは変わりません。
首の受傷の平均治療費は214,000円、通院期間77.6日(参考:一般社団法人日本損害保険協会の自動車保険データ)ですが、レントゲンやMRIなどの高額な検査を重ねて行った場合や、むち打ちがひどくて長期に会社を休んだりした場合には、2・3か月ほどで120万円の上限を超えてしまう事もあります。
そのため、保険会社も120万円の上限に支払額が近づいてくると、治療費の打ち切りを言ってきます。
しかし、むち打ちの治療が必要な状態であれば、自費で通院は可能ですし、示談時に自己負担した分を相手に請求することができます。
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むち打ちの保険金で、主に保険会社と揉めるのが治療費と通院慰謝料であるが、一概に保険会社が保険金の支払いを渋っているとは言いきれない場合もある。
自賠責保険の傷害に対する損害賠償額の上限は120万円であるため、むち打ちの治療費等をその範囲内に収めようと、治療費の支払いの打ち切りを保険会社が言ってくることがある。
交通事故で保険会社が介入している場合、様々な理由からむち打ちの治療を早期に打ち切ろうとする傾向がある。
むち打ちの程度によって、治療期間の目安や慰謝料の相場は異なる。過度に治療期間を引き延ばす行為は保険会社の心証を悪くしたり、詐欺とみられたりする可能性があるため注意が必要である。
むち打ちの示談金の内訳は、『治療費』・『休業補償』・『通院(入院)慰謝料』が大きなものであるが、慰謝料以外は支払いや補填に使われるため、実際に被害者に残るのは慰謝料のみである。