交通事故でのむち打ちにおける自己判断の危険性について
「交通事故に遭った時はむち打ちの症状がなくて、翌日に首が痛くなった。」というのはよくある話です。
その場合、すぐに病院に行って診察を受けるのがベストなのですが、「会社を休みたくない。」、「痛いけど、家にある湿布でも貼っておけば治るだろう。」と、自己治療をされる方も多くいます。
軽微なむち打ちで1・2日で快癒し、被害者自身もそれで納得されているのならば問題は少ないのですが、むち打ちが治まらずに長期化した場合には問題となってきます。
診察の遅れも問題となりますが、自己判断による自宅療養も問題となるからです。
例えば、追突事故に遭った翌日にむち打ちの症状が出たが病院に行かず、仕事が忙しかったために自己判断で鎮痛剤と湿布で週末の3日間を乗り切りました。
ですが、土曜日になって痛みが激しくなり病院に行ったものの、骨がずれていることが分かり、火曜・土曜は診察に来るように言われました。
痛みがきつくて1週間の自宅療養をし、その後1ヶ月間の通院をして完治しましたので、相手方の保険会社に請求したが保険金は支払われない、ということがあり得ます。
むち打ちで自己判断は厳禁
このケースで一番問題となるのは初診の遅さと相手への連絡です。
交通事故日から遅くなればなるほど、「交通事故以外でむち打ちとなったのでは?」という疑念が生じてくるからです。
また、病院に行く前に会社に通常通り出勤している点も、疑念を深める要因になります。
また、病院に行く前か行った直後に相手や相手方の保険会社に連絡をしていないと、相手は人身事故ではなく物損事故として処理していますので、対応が変わってきます。
しかも、警察の方も物損事故として処理をしていますし、それをむち打ちの人身事故に切り替えるには、警察での手続きが必要となり、最悪人身事故への切り替えが出来ない可能性もあります。
警察で人身事故と認められなければ、保険会社も保険金の支払いを拒否してきますし、警察の方で人身事故をして取り扱ったとしても、先ほど述べたように「交通事故以外が原因のむち打ちの可能性」と保険会社は主張してきます。
保険会社が交通事故であるむち打ちと認めた場合でも、問題点があります。
初診後に1週間会社を休業して自宅療養をしていますが、それが医師の指示によるものなのか、後付けでも診断書に『1週間の自宅療養を要した』と記載してもらえればよいですが、そうでなければ『自己判断で勝手に休んだ』とされ、会社を休んだことによる給料の補填の休業補償がされないことになります。
むち打ちでは自己判断による行動が、のちの示談交渉に大きく影響があるので、注意が必要です。
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交通事故のむち打ちの症状固定をした後も通院を続けた方が、後遺障害認定の時に認定されやすくなったり、示談交渉で有利となることもある。
むち打ちの症状が長引く原因としては、筋肉組織の重傷、骨の損傷・神経組織の損傷などが考えられるので、MRIを主体とした精密検査をする必要がある。
交通事故による死亡者は減っているが、怪我人はそれほど減っておらず、交通事故で怪我をした人の6割はむち打ちになっている。保険会社にむち打ちを否定された場合には、弁護士へ相談するのが望ましい。
むち打ちの治療費を保険会社に支払ってもらうためには、人身事故によるむち打ちで治療を受けていることが第一条件であるため、医師などに交通事故が原因である旨を伝える必要がある。
むち打ちの治療期間の多くは3か月以内で完治するものが多いが、むち打ちの症状によっては症状が長引くこともあるので、保険会社が治療費の打ち切りを言ってきても、医師の指示があれば治療を続けられる。