交通事故でむち打ちの症状が出たらどんな検査を受けるの?
交通事故による怪我の代名詞とも言われるほど、交通事故後の発症が多い「むち打ち」。
同じ姿勢をとり続けたり、強い衝撃が加わることで頸部が損傷してしまう状態ですが、交通事故の場合には後者の「強い衝撃」が不意に加わることで頸部がS字にしなり、傷を負ってしまいます。
骨折や出血、打ち身など目に見える怪我に比べ、頸部のなかの損傷は見えにくく、レントゲンでも写らないことが珍しくありません。
そのため、むち打ちを負った本人も「これがむち打ちなのだろうか、交通事故のせいなのだろうか」と確信が持てないことがあります。
むち打ちにはいくつかの種類があり、その種類ごとに症状の感じ方が違ってきます。
むち打ち症の中で多い「頚椎捻挫型」は、首を捻挫することにより首、肩、背中、腰などにこりや痛みを感じます。
「バレー・ルー症状型(バレリュー症状型)」は、衝撃によって首の骨のなかの自律神経まで傷ついた状態であり、めまいや耳鳴り、頭痛、息苦しさを覚えたり、不眠やうつにつながることもあります。
神経の根元部分が衝撃で圧縮されたり引き伸ばされたりする「根症状型」だと、損傷部分に応じた箇所にピリピリとした痛みや不快なしびれ、脱力感が生じます。
損傷がさらに脊髄まで及んだものが「脊髄損傷」です。
むち打ちはどうやって診断する?
交通事故によるむち打ちで整形外科や神経内科に行くと、問診、視診、触診のうえでレントゲンやCTを用いた画像診断を行い、場合によってはMRIも使用します。
画像で異常が認められることもありますが、捻挫や筋肉のこわばりの元は、画像で診断がつかないことが珍しくありません。
そのため、頭痛には痛み止め、肩こりには筋肉の緊張を和らげる薬や湿布などを処方する対症療法が中心となります。
「むち打ち症」というのは様々な症状の総称で、実際の診断名としては、頸部捻挫、頚椎捻挫、頸部挫傷、頸部打撲、頸部症候群といった病名が記されます。
日常的な怪我なら診断、治療が済めばひと安心ですが、交通事故の場合にはさらに、加害者への損害賠償請求のことを念頭に置かなければなりません。
画像診断では異常所見がないむち打ちの場合、痛みやしびれなどがあることを示すための神経学的検査を別途行っておく必要があります。
関節の可動域や筋力の低下、筋肉の萎縮度、反射異常を調べるための専門的検査です。
自分が感じている痛みや違和感を漏れなく医師に伝え、診断書に記してもらうことも忘れないでください。
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医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
むち打ちを後遺障害として認定してもらいたい場合は、故意に症状を誇張していると思われないように、画像診断や検査結果などの客観的な証拠を用意すると良い。
むち打ちを簡単に後遺障害認定してもらうことは難しいが、積極的に通院して、事故の直後と最近の画像診断を用意するなどすれば、後遺障害を認められる可能性が高くなる。
むち打ちの検査は、レントゲンやCTなどの画像診断のほかに、筋萎縮テストなどの神経検査や脳波検査がある。むち打ちが長引くようであれば、画像検査のほかの検査を受けるとよい。
むち打ちの中には脳脊髄液減少症が原因で症状が出ているものもあるので、むち打ちの症状が長期にわたる場合には、脳脊髄液減少症の検査をした方が良い。