近年注目されているむち打ちと脳脊髄液減少症の関係性とは
脳脊髄液減少症と聞いても、どういった病気かピンとこない方のほうが多いと思います。
近年、脳脊髄液減少症はむち打ちと深い関係があるのではないかと、医療関係者の間で注目されてきています。
むち打ちはそもそも頸椎の捻挫ですので、捻挫であれば筋肉の炎症や損傷が治癒すれば、痛みや不快感がなくなります。
しかしむち打ちに関して、捻挫という症状だけをみると治っているにもかかわらず、めまいや頭痛・吐き気・耳鳴りなどの症状を訴える人も多くいます。
今までは、「むち打ちでそういった症状が起こる原因が分からない」とされていましたが、脳脊髄液減少症が原因である人も少なからずいることがわかってきました。
首の骨がずれたり筋肉組織が損傷したりしてむち打ちが起こるのですが、首や背骨の脊椎の中には脊髄という神経組織が脳から通っています。
脳や脊髄はむき出しのまま体内にあるのではなく、髄膜や硬膜という薄い膜でおおわれており、その中には髄液が満たされています。
交通事故の衝撃で髄膜の一部が破れてしまうと、髄液が髄膜から漏れ出てしまうため、髄膜内の髄液が減少してしまいます。
普通なら脳は髄液に浸っているはずが、髄液不足から起立した際に脳がむき出しで髄膜と触れることになり、めまいや吐き気などの症状が現れます。
むち打ちが治らないのであれば再検査を
以前ならば「3カ月も経っているのに頭痛などの症状が治らないのは、加害者憎しの感情からで気のせいなのでは?」といった精神的な原因や、体質的な原因、自律神経失調症がたまたま同時期に起こったなどの、誤った診断が下されることも少なくありませんでした。
ですが、MRIやCTの精度上昇や脳脊髄液減少症の検査方法が確立されてくると、むち打ち症患者の中に脳脊髄液減少症である者が多くみられました。
逆に脳脊髄液減少症患者の多くが交通事故の被害者であることから、むち打ち症と脳脊髄液減少症は相関的な関係性があると言われています。
脳脊髄液減少症は一気に症状が現れるものもあれば、じわじわと髄液が漏れ出ることにより、数週間や数カ月経ってから発症することもあります。
そのため、交通事故直後のMRIやCTでは発見できず、頭が重い・めまいがするといった不定愁訴を訴えてから新たにMRTを撮り直して脳脊髄液減少症であることが判明することもありますので、むち打ちと診断を受けてなかなか治らないのであれば、再検査をした方が良いかもしれません。
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交通事故による怪我で多いむち打ちの症状は損傷箇所・程度によって、痛みやこりのほか、めまいや頭痛など様々である。画像診断のほか神経学的検査や医師の所見も含めることで症状を証明することができる。
医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
むち打ちの検査は、レントゲンやCTなどの画像診断のほかに、筋萎縮テストなどの神経検査や脳波検査がある。むち打ちが長引くようであれば、画像検査のほかの検査を受けるとよい。
むち打ちの症状が長引く原因としては、筋肉組織の重傷、骨の損傷・神経組織の損傷などが考えられるので、MRIを主体とした精密検査をする必要がある。
交通事故によるむち打ちの検査方法は多数あるが、一番重要視されるのは深部腱反射検査であり、この検査を受けている方が有利となる。