むち打ちを負わせた加害者が支払う損害賠償金の内訳は?
追突事故でむち打ちになり、2週間入院しましたがその後も痛みはなかなか取れず、会社に事情を話して、週に2回、午前中に整形外科で治療を受けて午後から出勤している方がいました。
加害者側の保険会社は、治療費と通院にかかる交通費を支払ってくれるので、今のところ金銭的に損をすることはなかったのですが、午後から出勤すると仕事が遅れがちで困っていました。
むち打ちが治って治療費の支払いが終わったら、それで交通事故による出費はなくなるので、その後、加害者側は何もはらってくれず、事故の後始末は終わるのでしょうか?
交通事故でむち打ちになった場合、被害者がこうむる損害は、治療費だけではありません。
ですので、治療を終えたら、未請求の損害を計算し、損害賠償金として加害者側に請求することができます。
むち打ちを負った場合、以下のような損害が発生します。
【医療費】
医療費とは、入院および通院でむち打ちの治療のために支払ったお金です。
入院した場合は、タオル、洗面具など、用意すべき日用品の購入を指示されることがありますが、それらの出費も医療費に含まれます。
個室に入院した場合、差額ベッド代は患者側の負担となり、加害者に請求できません。
通院するために交通費が発生した場合は、交通費も請求します。
ただし、病院への移動にタクシーを使った場合、基本的にタクシー代は請求できません。
会社を休む、もしくは短時間勤務を申し出るなどする際に診断書の提出が必要となった場合、診断書の作成代も、文書料として加害者に請求できます。
むち打ちにより発生する損害は医療費だけではない
【休業損害】
むち打ちになったため、やむなく会社を休んだ場合、休業した損害として損害賠償金を請求できます。
【入通院慰謝料】
むち打ち治療のために入院しなくても、通院治療を受けていれば、通院による精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。
【後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益】
今後、むち打ちが完治せず後遺障害と認定された場合は、後遺障害による慰謝料と、後遺障害にならなければ得ていたであろう将来の利益を、加害者に請求できます。
ご質問者様のように、交通事故の加害者に対する損害賠償請求を医療費のみと考えていらっしゃる方は、損害賠償金を過少に評価しがちです。
怪我が完治して加害者側と示談をしても、保険会社が示談の主導権を握り、損害賠償金額を提案した場合、その金額の妥当性に確証を持てないので、結果的に本来ならば得ることのできる損害賠償金を支払ってもらえません。
むち打ちの適正な賠償金は、交通事故に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。
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むち打ちは、自分の健康保険を使って治療することができる。特に、被害者の過失割合が大きい場合は、健康保険による治療により、受け取る保険金が増えることがある。
保険会社はむち打ちの治療費の打ち切りを早期に言うことがあるが、医師から通院の勧めがある場合には通院を続けた方が良い。不当な打ち切りであれば弁護士から抗議してもらう方法もある。
むち打ちを完治まで治療を続けると治療費が増えるので、治療を終えるまでは損害賠償請求ができない。そのため、完治するまで治療を続けるか、後遺障害の認定申請を検討するべきか、医師と相談する方が良い。
自賠責保険の怪我の治療費などの支払い上限は120万円であるため、むち打ちの治療費などが120万円を超えると、保険会社は治療費の打ち切りを言ってくることが多い。
保険会社は交通事故によるむち打ちは軽微な受傷と考えているため、治療期間が3カ月を超えると、治療費の打ち切りを言ってくる可能性が非常に高い。