遷延性意識障害による植物状態と脳死の違いとは?
遷延性意識障害の人の脳は、一部が生きて機能を果たしており、そのおかげで心拍の維持やその他、ホメオスタシス(体の恒常性)を保っていますが、脳死の人は、ホメオスタシスを維持できくなった状態なので、いずれ死に至ります。
人間の体は、無意識にさまざまな活動をしています。
心臓の鼓動はもちろん、消化活動、ホルモンの分泌、脈拍、発汗、睡眠コントロールなどは、すべて無意識に制御されており、遷延性意識障害患者の体もこれらの活動を維持しています。
遷延性意識障害患者は意識がなくても、脳死の人と混同されることはないのです。
遷延性意識障害の人は、わかりやすく言うと「植物状態」です。
意識はなく、自分で体を動かすことはできませんが、人工呼吸器を付けずに呼吸を維持しています。
これは、身体の恒常性をコントロールする脳の「脳幹」という部分が正常に機能しているからです。
脳の一部が活動をしている結果、遷延性意識障害の人の意識が回復したという事例があるものの、現時点では意識の回復は非常に困難であるとされています。
脳死はホメオスタシスを維持できない
遷延性意識障害による植物状態に対して、生命を維持するために必要な脳幹の機能を不可逆的に失った状態が「脳死」です。
脳幹は、生命の根幹に関わる活動を24時間コントロールしていますが、脳幹の働きを私たちは日頃意識することはありません。
脳幹がダメージを受け、回復することができなければ、やがて心拍(心臓の鼓動)や呼吸が停止します。
交通事故やスポーツ事故による打撲で脳幹を損傷することもあります。
脳幹の損傷が一部であれば、脳の機能障害を発症するに留まりますが、脳幹の機能を喪失すると死に至ります。
脳幹が活動を停止した結果、心臓の鼓動が止まるのが「心停止」です。
私たちが持つ人間の死に対するイメージは、心停止の状態と言えます。
心停止になると、体の各部に血液が流れなくなり、体を構成する細胞は徐々に腐っていきます。
脳死から心停止まで、わずかですが時間差があるわけです。
臓器移植のための臓器摘出を、脳死と判定された状態で行うのは、鮮度の高い臓器を生体に移植するためです。
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遷延性意識障害とは植物状態のことを指しますが、なかには最小意識状態にあるが植物状態と思われている人もいる。
遷延性意識障害は、主に知覚や意識を司る大脳が交通事故などにより損傷することでこん睡状態となった状態を指す。
遷延性意識障害の場合、障害年金の申請要件が一部緩和されるが、交通事故が原因の場合、支給に関して一部規制がかかることがある。
遷延性意識障害となった際に、交通事故後すぐにしなければいけない法的な手続きはないが、会社勤めであった場合にはそちらの手続きは迅速に行っておく方が良い。
遷延性意識障害と高次脳機能障害は重大な脳の障害ではあるが、高次脳機能障害は認知能力に障害が出るため、見た目では健常者と変わらないことがある。