遷延性意識障害となった時にするべき手続きは?

突然の交通事故で遷延性意識障害となった時、家族は「これから先の生活はどうなるのか?」と言う不安と常に向き合わなければいけません。
たくさんの悩みがあるとは思いますが、遷延性意識障害となった場合に必要な手続きや使える補助制度や支給制度を知っておけば、少しでも助けになると思います。
制度の中には、直接的に金銭が支払われるものから、現物支給、減免や無料化など幅広くあります。
中には交通事故で遷延性意識障害となった患者の家族がこれらの制度を知らず、経済的にも精神的にも追い詰められることがあります。
遷延性意識障害と診断が下されてから手続きができるものもあれば、交通事故直後から手続きできるものもあるため、早めに申請手続きをしていきましょう。
必要な手続きと使える補助制度・支給制度
重要なものに成年後見制度と障害認定があります。
成年後見制度は交通事故で遷延性意識障害となられた方の財産管理を代わりにする手続きとなり、交通事故の損保会社との交渉なども成年後見人でないとできないこともあるため、速やかにする必要があります。
また、遷延性意識障害の場合は一番重いとされる1級相当の障害と認定されることがほとんどなので、傷害認定以後の医療費が無料となります。
注意したいのが、役所に対する障害認定と、保険会社が言ってくる症状固定とは別物になるので、症状固定をする前に障害認定の申請をすることも可能です。
それと付随して、障害年金の手続きもする必要があります。
通常の傷病ならば、初診日から1年半の経過観察期間が必要となり、それを経てから障害年金が支給されるのですが、遷延性意識障害の場合は「3か月以上遷延性意識障害と認められる場合には障害認定がされる」と言うのに伴い、交通事故後4か月目から障害年金の支給条件にあてはまるケースもあります。
遷延性意識障害の患者が65歳以上ならば、介護保険の手続きが必要な場合もあります。
自宅介護時に訪問看護や訪問入浴を頼む場合には、介護保険を利用した方が計画的かつ安価に利用することができます。
基本的には入院中にソーシャルワーカーなどが、介護保険を受けるための要介護認定を勧めてくるのですが、認定には1カ月ほどかかり、その後保健師などと退院後の自宅での介護保険の利用計画などを打ち合わせが必要となるので、退院に間に合わないと言う可能性もあります。
自治体によっては独自に遷延性意識障害の患者に対して、おむつ代を支給したり、おむつそのものを毎月支給するところもあり、毎日大量に消費するものなのでありがたい制度だと言えます。
これも手続きをしなければ支給されないため、お住まいの自治体に問い合わせをしてみた方が良いでしょう。
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交通事故で遷延性意識障害患者となっても、患者本人の人権や所有権等がなくなるわけではなく、成年後見人が被後見人の権利を守りつつ代理権を使わなければならない。
遷延性意識障害の損害補償金の受け取りは、一括の他に定期金賠償という毎月(毎年)支払う形もある。定期金賠償には利点・欠点の両方があるため、受け取り方を考える必要がある。
介護が必要な遷延性意識障害の患者であっても、40歳以下であれば介護保険の対象外となるため、介護保険を利用できない。
遷延性意識障害患者の財産や契約の管理には成年後見人が必要である。4親等内の親族が裁判所に申立書類を提出し、審判を経て成年後見人になることができる。
遷延性意識障害の財産管理は成年後見人がおこなうが、財産の不当な減少を防ぐために、金銭貸借や贈与などをすることは認められていない。
