脊髄損傷で麻痺がある部分に痛みやかゆみを感じる幻肢痛
脊髄損傷を負った場合、下半身などに麻痺が出ることは知られていますが、痛みやかゆみなどが出るケースがかなりあります。
あまり脊髄損傷の知識がない方からすると、「脊髄が切れていて、神経が通っていないから、痛みもかゆみも感じないのではないか?」という意見が聞かれますが、ある脊髄損傷研究団体の追跡調査のアンケートを見ると、脊髄損傷患者の60%以上が麻痺部分に痛痒を感じるとの結果があります。
脊髄損傷による麻痺の部分に痛痒が出る原因は様々にあるのですが、『脳の勘違い』から起こっている物もあります。
事故などで腕や足が欠損したにもかかわらず、『切ったはずの右足の感覚がある』という事があり、重篤ケースでは切断したはずの四肢の感覚だけでなく、ないはずの四肢の激しい痛みを伴うことがあり、『幻肢痛』と呼ばれています。
幻肢痛は四肢の欠損だけにとどまらず、脊髄損傷や脳梗塞などで麻痺が起きた部分にも発症する事が知られています。
通常、患部に痛痒が起きた場合には鎮痛剤の投与や塗布が行われるのですが、幻肢痛では患部に異変がなかったり、患部そのものがないため、効果がほとんどありません。
医療関係者も見逃しがちな幻肢痛
脊髄損傷で麻痺している患部に異常が見られないために、患者が痛痒を訴えても、「脊髄損傷で感覚がないはずですので、痛みを感じるはずがありません。」と、幻肢痛の知識がない医師から言われてしまうケースも少なくありません。
患者からすれば日常生活に支障が出るどころか、患部を切断したい願望に駆られるほどの激しい激痛に悩まされることもあるのですが、CTやMRIなどでは異常が見られないため、ひどい場合には『保険金目当ての詐病』と言われてしまう事すらあります。
そのため、交通事故で通院していても、保険会社から治療の打ち切りを一方的に言われてしまう事もあります。
脊髄損傷によって麻痺部分に痛痒が出ているにもかかわらず、担当医師が理解してくれない場合には、交通事故による脊髄損傷に特化した医療施設でセカンドオピニオンを受けた方が良いでしょう。
また、痛みに特化したペインクリニックでは、幻肢痛に対する診察治療を行っているため、そちらも並行して通院するという方法もあります。
幻肢痛は交通事故の示談の際にも、「脊髄損傷なので痛みを訴えられても、医療的な証拠がないため、補償の対象外です。」と言われてしまう可能性が大きいので、交通事故の示談の経験を豊富に持つ弁護士に相談をして、示談に臨まれた方が良いでしょう。
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脊髄損傷の中でも珍しい中心性脊髄損傷の場合は、下半身に麻痺症状が出ずに上半身にのみ麻痺症状が現れることがある。また発見しづらいため、原因不明、もしくは詐病と疑われるケースもある。
交通事故の後日に脊髄損傷が判明しても、交通事故との因果関係の証明が難しいケースもあるため、弁護士に相談をした方が良い。
脊髄損傷でまれに上半身麻痺が起こることがある。珍しい症例のために脊髄損傷との因果関係に気付かない医師もおり、示談が不利になるケースもあるため、交通事故に詳しい弁護士に相談をするとよい。
脊髄損傷の診断は麻痺、しびれの確認、MRI等の画像診断で特定し、損傷箇所は、C・T・L・Sで部分を、番号で骨の場所を表す。ダメージの度合いは完全損傷と不完全損傷に分かれる。
保険会社が事故による脊髄損傷と認めないケースには、事故が軽微であったり、症状の発症が遅いことがあげられる。保険会社に認めさせるには、弁護士に相談をした方が良い。