交通事故の後日に脊髄損傷と診断されるケースとは?
脊髄損傷は、神経の伝達回路である脊髄が分断されて症状がでるため、多くの場合で交通事故直後から下半身麻痺などの症状が出ます。
しかし、必ず即時症状が現れるというものではなく、交通事故から数日~数カ月経ってから脊髄損傷の症状がわかることがあるため、時として交通事故の被害者である脊髄損傷患者と、加害者側の保険会社との間で紛争となることがあります。
交通事故の後日に脊髄損傷が見つかってしまう理由はいくつかあります。
1つは、脊髄損傷の症状が軽微で、交通事故直後には見逃されていたケースです。
「少し、めまいがしたり、ふらついたりする」「汗をかきやすくなった」など、交感神経に障害が出ている場合は、交通事故直後には気づかず、交通事故による気疲れや疲労だと勘違いしてしまうことがあります。
次にあるのが、治療中のため症状の発見が遅れるというケースです。
脊髄損傷の症状に、排尿障害があります。
しかし、交通事故による両足骨折などで動けない場合には尿カテーテルで排尿するため、排尿障害が起きているかは、後日に骨折が治って自力排尿する時になって初めて分かることになります。
また、腕や足の骨折でギブスによる固定がされている場合には、腕や足の麻痺やしびれの発見が遅れることもあります。
治療中に脊髄損傷になる場合も
一番厄介なのが、交通事故当時は脊髄損傷でなかったのに、後日、脊髄損傷になるケースです。
「後日に脊髄損傷となるのであれば、交通事故は関係がないのでは?」と思うかもしれませんが、実際には交通事故が原因で後日に脊髄損傷となることはありえます。
交通事故で脊椎(背骨)を骨折した場合、時として脊椎が変形したまま骨折が治ることがあります。
変形した脊椎がとがったような形で固まって脊髄を傷つけることがあり、それにより脊髄損傷が起こることがあります。
また、骨粗鬆症の場合は数多くある脊椎の一つが骨折したことにより、脊椎全体の強度が下がり、別の脊椎部分が耐えられずに押しつぶされる圧迫骨折が起こりやすくなります。
単に「交通事故の後、腰に痛みがある」と思っていたら、脊椎にひびが入っており、さらに骨粗鬆症であったため別の脊椎に圧迫骨折が起こり、痛みだけではなく骨折した骨が脊髄に傷をつけてしまい、脊髄損傷となるというケースもあります。
こういったケースでは、交通事故の怪我で脊髄損傷となったという証明が困難となることもあるため、医師の診断書が重要になってきます。
保険会社と脊髄損傷の認定で紛争となった場合には、交通事故に精通した弁護士に相談をしてみると良いでしょう。
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脊髄損傷では麻痺がある部分に痛みやかゆみなどを感じる幻肢痛という症状が出ることが多くあるため、幻肢痛で日常生活に支障が出る場合にはその分を含めた損害賠償請求をした方が良い。
交通事故で脊髄損傷となった場合には、脊髄を横断的に損傷した完全損傷と、脊髄の一部が損傷または圧迫を受けたが、断的な損傷は受けておらず一部の機能を残す不完全損傷がある。
脊髄損傷の中でも珍しい中心性脊髄損傷の場合は、下半身に麻痺症状が出ずに上半身にのみ麻痺症状が現れることがある。また発見しづらいため、原因不明、もしくは詐病と疑われるケースもある。
交通事故で下半身麻痺の脊髄損傷を負った場合、車いすの購入費用を加害者側に請求できるが、購入前にいろいろと試してから購入した方が良い。
保険会社が事故による脊髄損傷と認めないケースには、事故が軽微であったり、症状の発症が遅いことがあげられる。保険会社に認めさせるには、弁護士に相談をした方が良い。