保険会社が脊髄損傷を認めない場合はどうすればよい?
医学的に脊髄損傷と診断されても、医師ではなく保険会社の方が交通事故による脊髄損傷と認めないケースがあります。
脊髄損傷を伴う交通事故の場合、医師が認めているのに保険会社が脊髄損傷を認めないと、保険会社と被害者が大きくもめることになります。
弁護士に相談される交通被害者の中にも、「交通事故で怪我をしたのに認めてもらえず、治療費を払ってもらえない」「脊髄損傷となっているのに、後遺障害と認めてもらえない」というものがあります。
なぜ、このような状況が起こるかというと、交通事故の状況が脊髄損傷を受傷する規模でない、と保険会社が考えているからです。
むち打ちの症状は軽微な衝突事故であっても起こる可能性があるため、治療費の支給が認められることが多いです。
しかし、脊髄損傷が起こるには、相応の衝撃が脊髄にあったと考えられます。
そのため、停車していた車に時速10kmで衝突したといった場合などには、脊髄損傷が起きるほどの事故ではないと判断されてしまいます。
交通事故での脊髄損傷と認めてもらう条件
では、交通事故による脊髄損傷と認めてもらう条件はと言うと、交通事故における物損の被害金額が30万円を超えるかどうかというのが、一つの目安となります。
車対車の衝突事故の場合、軽微な衝突であればお互いのバンパーの修理だけであったり、時として修理すら必要ないこともあります。
しかし、スピードを出して衝突した場合には、衝突した自動車の方に損傷が出ますので、その自動車の修理代、つまり物損額が30万円を超えるような事故であれば、脊髄損傷が起きる可能性がある事故として認められるのです。
これは一般的な車対車の事故での話であり、高級外車であれば軽微な修理でも修理代は跳ね上がりますし、人対車で歩行者の脊髄損傷のケースには当てはまらないため、絶対的な条件ではありません。
また、交通事故直後に脊髄損傷が認められていても、手のしびれや麻痺などの脊髄損傷の症状がなかったのに、3カ月や6カ月も経ってからこれらの症状が出たと訴えても、交通事故による脊髄損傷と認められないです。
脊髄損傷は受傷した直後から症状が出るのが一般的で、その後の治療やリハビリにより軽減するか、受傷した状態から悪化するかのどちらかになります。
そのため、脊髄損傷の症状がなかったのに数カ月経ってから脊髄損傷の症状が出るというのは、交通事故以外で受傷したことが原因とされます。
このようなケースでは、交通事故の状況や患者の通院状況が重視されるため、保険会社の対応に不満がある場合には、弁護士と念入りな相談が必要になります。
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交通事故で脊髄損傷となった場合には、脊髄を横断的に損傷した完全損傷と、脊髄の一部が損傷または圧迫を受けたが、断的な損傷は受けておらず一部の機能を残す不完全損傷がある。
脊髄損傷では麻痺がある部分に痛みやかゆみなどを感じる幻肢痛という症状が出ることが多くあるため、幻肢痛で日常生活に支障が出る場合にはその分を含めた損害賠償請求をした方が良い。
脊髄損傷による損害賠償の内訳は、大きく分けて積極的損害と消極的損害の2種類があり、もともとの損害に対する補償の性質が異なる。
脊髄損傷で歩行困難の症状が出た際に、後遺障害について被害者の年齢が問題となることがあるので、被害者が高齢者になるほど弁護士に事前に相談をした方が良い。
交通事故の後日に脊髄損傷が判明しても、交通事故との因果関係の証明が難しいケースもあるため、弁護士に相談をした方が良い。