交通事故の逸失利益はフリーターであっても請求できる?
【質問】
つい1ヶ月前、私が運転し、息子が後部座席に乗って買い物に出かけていたところ、交通事故に遭いました。
センターラインをはみ出てきた乗用車が車の横に追突し、息子が意識不明となる重体になったのです。
医師からは、遷延性意識障害と言われ、これから先に意識を取り戻すかどうかは分からないと言われました。
息子は大学を卒業してからは就職に失敗し、アルバイトをしては辞めるということを繰り返すフリーターだったのですが、一つ疑問が浮かびました。
交通事故で遷延性意識障害となったのが息子ではなく、仮に旦那であった場合、将来的な収入を請求できると聞きます。
しかし息子のようなフリーターの場合ですと、どうなるのかが疑問に思います。
交通事故に遭う前まで、「こういう仕事をしたい」というように、仕事に対する意欲は十分に持っていました。
理想の仕事に就けるかどうかは別として、将来的に仕事をして、収入を得ていく可能性は十分にあったと思います。
交通事故前に本人に働く意思があった場合、将来的な収入を請求する事は出来るのでしょうか?
【回答】
将来得られたであろう経済的な利益の事を、逸失利益と呼びます。
息子様の場合、交通事故で後遺障害が残らなければ得られていたはずの収入の事を指します。
サラリーマンや自営業者であれば、前年度の年収や確定申告を参考にするなどして、逸失利益を算出する事が可能です。
一見すると、無職の方やフリーターの方ですと、逸失利益を得られないのかもしれないと考えてしまうかと思います。
しかし、逸失利益の定義を考えると、仮に現在は無職の人、あるいは失業者であったとしても、将来的に働いて収入を得ていく可能性がある場合、逸失利益は認められる可能性が高いです。
肝心なのは、被害者が将来的に働いて収入を得る可能性があるかどうかです。
その点において考慮されるのが、労働能力と労働意欲、就労における蓋然性などが重要視されます。
現在無職の方の場合、失業する前の収入を参考にしたり、再就職によって得られるであろう収入などを考慮して算出します。
仮に一度も働いた事のない人の場合は、学歴や就労意思を元に、平均賃金を参考にするような事もあります。
ただ、ご質問者様の息子様はフリーターとして何度か働いた経験がおありとの事であるため、過去の収入が逸失利益に関係するといえます。
遷延性意識障害は後遺障害等級の中でも上位に当たる症状のため、逸失利益はともかく、慰謝料など各種賠償金は高額になりやすいです。
逸失利益を含め、詳しく相談するためにも、弁護士を頼られるほうが安心かと思います。
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交通事故が原因でPTSDを発症した場合、後遺障害として認定されることもあるが、近年は厳格化しているため、事前に交通事故に詳しい弁護士に相談した方が良い。
交通事故に遭った時、弁護士に頼む人は多く、賠償金の増額も見込める上、加害者とのやりとりも楽になる。しかし、全ての状況において弁護士に頼むのがベストかと言えば、そうではない。
ひき逃げのような悪質な交通事故では、その事実を証明できれば慰謝料を増額する交渉は可能である。弁護士基準での増額の交渉を個人で行うのは難しいので、弁護士の知恵を借りるべきである。
交通事故の被害に遭った時、被害者は一貫した主張をするべきであるのと共に、正直に正確な症状を伝える事が求められる。嘘をついて不法の利益を得た場合、詐欺罪に抵触する恐れがあり、注意が必要である。
交通事故が原因で営んでいる自営業に損失が生まれた時、損害賠償を請求する事ができる。請求できる範囲には限りがあるため、しっかり確認する必要がある。