交通事故の示談を他人に依頼することはできますか?
【質問】
先日母が交通事故に遭い、現在入院をしています。
私は母一人子一人の母子家庭で、母が交通事故になっても頼る人がおらずに困っていました。
しかし、交通事故の3日後に、母の妹の夫にあたる義理の叔父が病院に見舞いに来ました。
母も義理の叔父と会うのは10年以上ぶりらしく、かなり驚いていたのですが、再会を喜んでいました。
交通事故の話になり、義理の叔父が「交通事故の示談って大変だから、よかったら代わりに保険会社と話をしようか?女性だと足元を見られて、満足な保険を支払ってくれないかもしれないし」と言ってきました。
母も「義理の叔父が代わりにしてくれるんならば心強いし」と、示談を任せる気になっています。
ですが、私は10年ぶりに交通事故だからとやってきた義理の叔父が胡散臭く思え、もしかしたら交通事故の保険金狙いではないかとさえ思ってしまっています。
母には、「同居している家族じゃないし、保険会社の方もお母さんか私じゃないと、話をしないのでは?」と言って、一旦は義理の叔父に頼むことを思いとどまらすことができました。
実際のところ、保険会社は被害者の妹の夫など、血縁関係のない他人と示談交渉するものなのでしょうか?
【回答】
交通事故の示談交渉は、交通事故の当事者が認めれば、たとえ他人であっても行うことができます。
しかし、そこには「金銭などの対価を得ることは、弁護士以外は禁止」との大きな前提があります。
つまり、質問者の場合は叔父が弁護士でもない限り、母親の代わりに保険会社と示談交渉を行うことはできるが、「無償」かつ「母親からの許可」がなければすることができないことになります。
ですが、保険会社からすると、示談相手の優先順位は「交通事故の当事者」「当事者と同居している家族」「同居している家族がいない場合には、親もしくは子といった直系親族」の順であることが多いです。
そうでないと、交通事故の当事者から「無断で示談交渉をした」とクレームが来て、無用の紛争が起こる可能性があるからです。
しかも、示談交渉を行うのは示談のプロである保険会社ですから、生半可な素人では太刀打ちできるわけもなく、自分でした時よりも示談金が少なかったというケースもあり、最悪示談を任せた親族に保険金をすべて持ち逃げされたという話もあるため、安易に示談を他人に任せるのは危険と言えます。
交通事故の怪我などにより、自身で示談交渉が出来ない場合には、法律と示談のプロである弁護士に依頼するのが一番の安全策になります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故の示談交渉は、当事者が認めるのであれば、他人に任せ、対応してもらう事は可能である。ただし、対価を得る事は弁護士以外禁止されているため、無償で対応してもらう必要がある。
仮に交通事故の示談交渉を弁護士に任せたとしても、保険会社と交渉する場に、被害者が同席する事は可能である。しかし、その場合にはスムーズに事を進めるために入念な打ち合わせが求められる。
弁護士に交通事故の示談交渉を任せても、示談交渉の場に依頼主が同席することは可能であるが、事前の打ち合わせが重要となってくる。
自分にも過失がある交通事故の場合、保険会社は自身が示談交渉権があることを盾に、弁護士費用特約の利用を許可しないことが多い。
交通事故の交渉で、「示談」「調停」「裁判」の違いは、示談は当事者同士の話し合い、調停は話し合いの場に裁判所の調停委員が立ち会う、裁判は文字通り裁判で内容を決めることを言う。