交通事故で弁護士費用特約の使用を断られた場合には?
【質問】
自動車の交通事故を起こしたのですが、相手方と示談交渉でもめていて弁護士費用特約を使いたいと思っています。
ですが、保険会社が弁護士費用特約の使用を許可してくれません。
過失割合は3:7と相手方のほうが悪いのですが、「過失割合を5:5にしろ」とか、「そっちは打撲だけで済んでいるが、こっちは入院をしているんだから謝罪に来い」など、理不尽な要求を繰り返しているだけでなく、「保険会社と話をして欲しい」と、保険会社の担当も私も言っているにもかかわらず、直接私の方にも電話をしてきます。
そのため、私の方もほとほと困っており、弁護士を雇って相手側との交渉をしてもらおうかと考えていました。
加入していた自動車保険には弁護士費用特約が付帯していたため、それを利用しようと思い保険会社に連絡したところ、断られてしまいました。
この場合、弁護士費用特約を使うことはあきらめないといけないのでしょうか?
【回答】
そもそも、弁護士費用特約が出来た背景には、自動車保険に加入していても、過失がなければ自動車保険が保険加入者の代わりに示談交渉が出来ないという法律があるためです。
保険会社が介入できないのであれば、弁護士が交通事故の示談交渉をすればよいのですが、弁護士を雇うためには費用が掛かるため、弁護士特約が出来たのです。
つまり、弁護士費用特約を使う前提としては、交通事故の当事者に過失がないことが前提となります。
過失が少しでもあれば保険会社が示談交渉に介入できるため、弁護士を雇う必要がないというのが保険会社の主張になります。
今回のケースは、保険会社の担当による力量不足が原因であるのは明らかです。
通常ならば保険会社の担当が、「交通事故の担当は保険会社がしますので、相手方に直接連絡はしないで下さい」と強く念押ししておく必要があります。
つまり、質問者は弁護士費用特約を利用して弁護士を雇うのではなく、まずは保険会社の担当に抗議すべき事由だと言えます。
万が一保険会社と加害者との示談交渉がこじれた場合でも、質問者が弁護士を雇うのではなく、保険会社が弁護士を雇って示談交渉に当たらせるのが通常です。
相手方からの直接の連絡が止まらず、保険の担当がキチンと対応してくれない場合には、担当の上司に直接連絡して担当の変更を申し出るか、保険会社のお客様相談窓口に苦情を申し立てて担当を変えるか、弁護士対応に切り替えて示談交渉をするかの対応をとってもらうと良いでしょう。
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交通事故の交渉で、「示談」「調停」「裁判」の違いは、示談は当事者同士の話し合い、調停は話し合いの場に裁判所の調停委員が立ち会う、裁判は文字通り裁判で内容を決めることを言う。
交通事故の示談交渉は当事者同士が行うか、代理権を有する保険会社か、依頼を受けた弁護士しかすることができないため、たとえ家族であっても示談交渉を任せることはお勧めできない。
個人で保険会社と交通事故の示談交渉をするのには限界があるため、示談交渉がうまくいかない場合には弁護士に任せた方がうまくいく。
交通事故の示談を他人に任せることはできるが、様々な問題が発生する可能性があるため、法律と示談のプロである弁護士に示談を任せる方がいい。
弁護士特約とは、交通事故の紛争を解決するための弁護士を雇う費用を保険会社が支払うもので、契約者にとって恩恵が多い自動車保険特約である。