交通事故の被害者ですが、保険会社と有利に交渉するには?
【質問】
交差点で信号待ちをしている時に、追突事故を起こされました。
自分が加入している保険会社に交通事故の連絡をしたのですが、私に過失がない事故のため、私個人と加害者の保険会社で交渉をして欲しいと言われました。
仕方なく個人で保険会社と交渉をしているのですが、補償の範囲や補償金額で折り合いがつかずに、何度も話し合いをしているような状態です。
初めの示談交渉から半年もたっているため、保険会社との交渉にはうんざりしているのです。
保険会社の対応ものらりくらりと逃げるようなことが多く、こちらから言わなければ入院雑費をつけてこなかったりと、金額的な面でも私に請求させないようにわざと教えてくれないことも多く、保険会社の対応には苦慮しています。
何とか、保険会社との交渉を有利にする方法はないのでしょうか?
【回答】
弁護士の立場からアドバイスさせていただくと、「個人で保険会社と交渉するには限界がある」の一言になります。
個人で保険会社と交通事故の示談交渉する際には、保険会社も「自動車保険に関しては素人だから、保険金を安く計算しても分からないだろう」という対応をします。
中には自動車保険のことを詳しく勉強をして、保険会社に対抗する人もいますが、それで裁判の判例並みの保険金を手にする人は非常に少数派です。
ほとんどの場合で、保険会社も「それならば裁判をしてください」という対応になるからです。
なぜ、保険会社がそういう対応をするかというと、保険会社の方で交通事故の示談交渉における対応のマニュアルがあるからです。
保険会社も営利目的で自動車保険を契約していますので、保険金の支払いに関してはシビアになり、「なるべく保険金は支払わない」というのが第一条件になります。
保険会社内の示談交渉の手順は、
1.最低ラインの保険金額を提示する
2.それで納得しない場合には、社内で決められた限界までは徐々に応じる
3.社内で決められた限度枠を超えて請求してきた場合には、裁判で対応する
となっているため、個人で示談交渉をしても、保険会社からすれば想定の範囲内の事になり、個人で有利な示談交渉をするにはかなりの困難が伴うのです。
ただし、交通事故の示談で弁護士が介入した場合は別になります。
なぜならば、弁護士が介入したことにより、法律的に請求できる項目は全て請求し、しかも金額も保険会社の基準ではなく判例に基づく金額になるため、保険金は大幅に上昇します。
その上、裁判となった場合には保険会社に有利な判決が出ることはまずないため、保険会社も弁護士が介入した時点で、弁護士から提示された金額か、またはそれよりやや低い金額を和解案として打診してくるのが通常です。
質問者も個人での交通事故の示談交渉に限界を感じているのでしたら、弁護士に依頼することをお勧めします。
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交通事故における過失割合で加害者と揉めた場合、加害者の主張が不当であるケースでは、弁護士を介入させ、対処する方法がある。過失割合における口論を個人でまるく収めるのは、容易ではない。
交通事故の示談交渉は当事者同士が行うか、代理権を有する保険会社か、依頼を受けた弁護士しかすることができないため、たとえ家族であっても示談交渉を任せることはお勧めできない。
交通事故の示談を弁護士に依頼している場合には、裁判となった場合でも弁護士に任せて出廷しないことも可能である。
仮に交通事故の示談交渉を弁護士に任せたとしても、保険会社と交渉する場に、被害者が同席する事は可能である。しかし、その場合にはスムーズに事を進めるために入念な打ち合わせが求められる。
自分にも過失がある交通事故の場合、保険会社は自身が示談交渉権があることを盾に、弁護士費用特約の利用を許可しないことが多い。