交通事故で怪我を負ったペットの治療費は支払われますか?
【質問】
自動車同士が衝突する交通事故を起こしたのですが、その時にペットの犬を同乗させていました。
後部座席のシートに寝転がっている状態であったため、交通事故の衝突で運転席と助手席の背面に叩きつけられる形になり、打撲と脊髄損傷から歩行が困難になりました。
加入していた自動車保険にペットの治療費の打診をしてみたのですが、「ペットは物として扱うため、物損扱いです」と言われてしまい、物損保険の中から購入費用であった10万円を支払うとの返事がありました。
他の人からすれば「ペットの犬」かもしれませんが、私からすれば大事な家族で、治療費を払ってもらえないのも釈然としませんし、さらには物扱いされてしまったことにショックを受けています。
弁護士を雇って訴えれば、ペットの治療費を支払ってもらえるのでしょうか?
過失割合は私と相手方の双方5:5です。
【回答】
交通事故に限らず、民法上では「ペットは物」として扱われているため、交通事故でペットが亡くなったり怪我をした場合でも、「物損」扱いで処理されるのが通常です。
そのため、ペットが亡くなったり怪我をしたりした場合には、物損に応じた計算方法が使われ、時価もしくは購入した代金から計算をされるため、購入代金を超える保険金の支払いは、ほぼ皆無と言えます。
判例の中では、交通事故に遭った犬の治療費と介護器具代、慰謝料の合計40万円を認めた判決もありますが、多くのペットに関する訴訟の中では例外的とも言えます。
このように飼い主寄りの判決が出ているケースでも、「犬を自動車に乗せる際に、ペット用ゲージに入れておかなかった」等の過失から10%の減額がされています。
質問者の場合は、もともとの事故の過失割合が50%あり、さらにペットを移動用のゲージに入れておかなかったことから、過失割合が60%以上とされる可能性が高いです。
そのため、ペットの購入代金が20万円として、過失割合を引いた金額は8万円以下となるため、治療費がこれ以下であるのならば物損として保険金を受け取るのも1つの方法です。
もし裁判をした場合でも、認められる可能性が低い上に、認められた場合でも上記のように数十万円の可能性があるため、裁判費用や弁護士費用を考えると、ペットの治療費のみで裁判をされるというのは、費用対効果の面でも疑問が残ると言えます。
そのため、自身の人身傷害や自動車の物損などと併せて保険会社と交渉をされることをお勧めいたします。
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民法上、ペットは物としての扱いになる事から、交通事故で怪我をしてしまったとはいえ、通常は物損扱いとなる。そのため、多額の慰謝料や治療費を請求する事は難しい。
軽傷であった交通事故の示談では、弁護士に依頼することで入通院慰謝料を弁護士基準まで引き上げて増額できる可能性がある。費用の詳細はケースバイケースで弁護料は弁護士によるので比較検討が必要となる。
慰謝料がいくらかは交通事故によるが、入通院期間と後遺障害等級で目安が決められている。最も高い弁護士基準での解決や増額の交渉は個人では難しく、弁護士費用特約や無料相談を上手に利用すると良い。
一度の事故で、物損と人身に損害を与えた場合、物損の示談だけを人身の示談より先にすることは可能である。
交通事故の場合、過失割合に沿ってお互いがお互いの損害賠償をしなければいけないため、過失割合が小さくても負担が大きい時がある。