交通事故の示談交渉は引き延ばした方が得ですか?

【質問】
歩道を歩行中にハンドル操作を誤った自動車に、追突されました。
すぐに救急車で病院に運ばれたのですが、ふくらはぎの打撲と転んだことによる数カ所の擦過傷、軽いむち打ちと診断されて、その日に家に帰りました。
交通事故の当日に加害者側の保険会社から電話があり、治療費などは保険会社が負担することで合意しています。
交通事故から2週間たちますが、2日おきに病院に行ったせいか、幸いほとんど怪我も治り痛みもなくなりました。
たまたま、学生時代の友人に会い交通事故の話をすると、「示談にはすぐに応じたら損だ。後遺症が出るかもしれないから、ギリギリまで示談を引き延ばした方がいい。」と言われました。
また、交通事故の2日後から会社に出勤していたのですが、「体が痛いと言ってもっと休んでおけば、保険会社から保険金が出て得だったのに。」とも言われました。
私的には、大きな怪我をしなかった交通事故だし、加害者の人も現場で謝ってくれて、家にまで謝罪に来てくれたので、十分だと思っています。
でも、後遺症の事を考えると示談交渉をすぐにしない方がいいかとも思います。
示談交渉はギリギリまで引き延ばした方が良いのでしょうか?
【回答】
人身の交通事故は、死亡や遷延性意識障害などの重大な後遺症が残るものから、擦り傷程度の軽微なものもあります。
そのため、示談にかかる時間も1カ月程度から、保険金の請求権の時効の3年、さらには裁判で数年争う場合もあります。
友人の「示談にはすぐに応じたら損だ。後遺症が出るかもしれないから、ギリギリまで示談を引き延ばした方がいい。」という言葉は、正しくもあり間違ってもいます。
治療が終わっていない段階で示談に応じる必要はありませんし、保険会社が提示した保険金に不満がある場合には、弁護士などに保険金の再計算をしてもらえばよいので、すぐに示談交渉をしなければいけないわけではありません。
しかし、後遺症の発症をおそれて示談を引き延ばすのは得策ではありません。
交通事故直後に認められたむち打ちなどは後遺症として認められるでしょうが、交通事故後2週間、1カ月と経ってから「首が痛い」「膝が痛い」と言っても、交通事故の後遺症とは認められません。
また、不必要な休職や治療を続けて、示談を遅らせるのもよくありません。
保険会社に対する心証が悪くなるだけでなく、医師からも偽病と診断されると、保険金詐欺として刑事罰の対象となる可能性があります。
質問者は、2週間で交通事故による受傷が治ってきているようですので、医師から完治の診断が出た時点で、示談交渉を始められたらよいと思われます。
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交通事故の示談を加害者と直接した場合には、保険会社から保険金が支払われなくなるため、直接の示談はしない方がいい。
保険会社は約款に従って賠償金を支払うため、個人で裁判所基準の賠償金を要求しても応えてもらえない。交通事故の示談段階でも、裁判を起こすにしても、賠償金額を増やすには弁護士へ依頼すると良い。
交通事故の被害者は、自賠責保険に直接請求することができる。このことを、自賠責保険の被害者請求と言う。
保険会社と示談交渉で納得できる回答がもらえず裁判と言われた場合、弁護士を通じて交渉した方が有利に進められる。
交通事故で入院となり、有給を使って入院治療をした場合、有給は労働者の権利であるため、入院や通院のために有給休暇を使っていても、休業補償日数に含めて保険金が支払われる。
