交通事故による物損の示談だけを先行することはできますか?

【質問】
信号のない交差点で、出会い頭事故を起こしてしまいました。
私も相手方も自動車が修理になっただけでなく、むち打ちの症状が出てお互い通院中です。
両方の保険会社を通じて示談の話し合いをしてはいるのですが、乗っていた自動車の物損の示談だけを先行させたいと考えています。
車両保険には加入してはいるのですが、修理費の見積もりが車両保険の上限よりも高いのと、車両保険の免責額が10万円のため、相手からの物損の保険金を免責額に充当して、車両保険の保険金で中古車を購入しようかと考えています。
私の住んでいる所は車がないと不便な所で、早急に自動車が必要なため、一日でも早く物損分の保険金が欲しいのですが、治療中である場合には完治してからでないと示談をすることはできないのでしょうか?
過失割合に関しては5:5で話はついているので、相手側ともめているというわけではありません。
【回答】
交通事故の場合、相手の自動車のほか、ガードレールや電柱、第三者の建物などに損害を与えることがあります。
そういった物の損害は、速やかに修理や撤去・新設しなければいけない場合も多いため、物損に対してだけ示談を先行させることは珍しくありません。
特に人身事故が絡んでいる場合に、怪我の完治を待ってから物損の示談をするのであれば、遅すぎるということがよくあります。
そのため、物損と人身の示談は分けてすることがあり、物損の示談だけを先行させる場合、物損用の示談書と人身用の示談書は別に作成され、物損の示談内容が人身用の示談に影響を及ぼすことは少ないです。
今回のケースでは事故を起こした自動車の代わりが早急に必要とのことですので、物損の示談だけを先行してもらえるように保険会社に言ってみると良いと思います。
質問者様の場合には問題がないのですが、過失割合でもめていたり、損害賠償額に関して承諾が得られないような場合には、早期に物損分の示談を希望しても相手側から断られるということがあります。
その場合には、保険会社の方に物損の示談を円滑に進めてもらえるように、強めに希望してみても良いかとは思います。
どちらにしても一度示談をしてしまうと、後で訂正したり取り消したりできないため、示談書の中身の確認はきちんとするようにしましょう。
また、物損の示談をしたからと言って、人身に関しても示談を急いでしなければいけないわけではありませんので、交通事故の怪我が完治するまではちゃんと治療を受けるようにもしましょう。
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弁護士に交通事故の示談交渉を任せても、示談交渉の場に依頼主が同席することは可能であるが、事前の打ち合わせが重要となってくる。
交通事故の示談交渉は当事者同士が行うか、代理権を有する保険会社か、依頼を受けた弁護士しかすることができないため、たとえ家族であっても示談交渉を任せることはお勧めできない。
軽傷であった交通事故の示談では、弁護士に依頼することで入通院慰謝料を弁護士基準まで引き上げて増額できる可能性がある。費用の詳細はケースバイケースで弁護料は弁護士によるので比較検討が必要となる。
1回目の交通事故の示談前に、2回目の交通事故で死亡してしまうと、請求できる保険金額が変わってくるため、弁護士に依頼して交渉をしてもらう方が良い。
交通事故の被害者は、自賠責保険に直接請求することができる。このことを、自賠責保険の被害者請求と言う。
