保険会社から定期金賠償を勧められました。定期金賠償とは?

【質問】
主人が玉突き事故に巻き込まれ、脊髄損傷で首から下の完全麻痺となりました。
何度も保険会社と話し合いを重ねたのですが、その中で将来的な治療費や生活費の分に関しては定期金賠償にして欲しいと言われました。
治療費などの2000万円は一括で支払うが、残りの3000万円に関しては一度に支払うのではなく、主人が亡くなるまで毎年300万円を支払うとのことでした。
主人の年齢は50歳で、もし平均寿命まで生きるとしたらあと30年もあるため、毎年300万円をもらう方が得かなと思いますが、逆に10年に満たない間に主人が亡くなってしまうと損をしてしまうため、迷っています。
定期金賠償とは、ただ単に保険金は毎年分割して払うものだけなのでしょうか?
定期金賠償にすることにより、何かリスクを負うことはないのでしょうか?
【回答】
交通事故の保険金は、死亡事故や遷延性意識障害など重篤な障害が残った場合には、何千万、時として数億になる事もあります。
その数千万円もの保険金は現金で一括して保険会社から振り込まれると思われがちですが、実際には分割して支払われることもあります。
交通事故の治療時にかかった治療費や治療期間内の休業補償は「すでに被った損害」であるため、一括で支払われることが多いです。
しかし、交通事故により負った怪我により働けなくなり、治療が必要となった場合の、「将来的に必要な生活費や治療費など」は将来の賠償保障であるため、一括で支払うこともありますが、その都度支払うという方法もあります。
定期金賠償は、毎年や毎月など定期的に賠償金を支払うもので、一般的には交通事故の被害者が生存している間のみになります。
定期的に賠償金が支払われるため、交通事故の被害者が長く生存すれするほど定期金賠償の方が一括で受け取るよりも特になります。
ですが、定期金賠償にはリスクもあります。
1つはインフレに弱い点です。
急激にインフレが起こった場合には、300万円が現在の200万円の価値しかないことも考えられます。
2つ目は、早期に交通事故の被害者が亡くなってしまった場合には、定期金賠償が打ち切られてしまう点です。
賠償金により被害者家族が生活している場合には、打ち切られると生活苦となる可能性があります。
3つ目は、保険会社の破たんです。
定期金賠償を支払っている保険会社が破たんしてしまうと、以降の賠償金が支払われなくなるため、大きな支障が出る点です。
一括で受け取るか、定期金賠償で受け取れるか選択できる場合には、十分な検討が必要になります。
また、裁判所の判決によっては定期金賠償でしか受け取れないこともあります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故の示談後に被害者が死亡した場合でも、逸失利益などの返金を加害者側にする必要はない。
交通事故の示談後に後遺症が悪化しても基本的には補償してもらえないが、示談時には予想できなかったほどの著しい悪化の場合は、示談を無効とする判例もある。
自動車と歩行者における交通事故の過失割合は、基本的に自動車が悪く、10:0となる。しかし、シチュエーションによっては歩行者にも過失割合が発生し、過失相殺される可能性はある。
内縁関係の相手が交通事故で死亡した場合には、遺族慰謝料や扶養権利に基づく請求をすることができるが、大前提として内縁関係の証明が必要になる。
弁護士特約とは、交通事故の紛争を解決するための弁護士を雇う費用を保険会社が支払うもので、契約者にとって恩恵が多い自動車保険特約である。
