交通事故に遭うとむち打ちになりやすい理由とは
むち打ちは、首に強い衝撃が加わることで発症します。
むち打ちになる原因は、スポーツ外傷、落下事故、職場における事故、暴力、治療院における不適切な施術などがありますが、ずば抜けて多いのが交通事故によるむち打ちです。
交通事故のうち、むち打ちになりやすいのが追突事故です。
車の後部から追突されると、慣性の法則により、人体は、衝突された方向へと激しい勢いで飛び出します。
この衝撃から体を守るのがシートベルトです。
頭部も体と一緒に前へ飛び出そうとしますが、頭部を支えている首は、衝撃の反動で反対方向にしなり、首の骨とその周辺の組織に大きな負荷がかかります。
交通事故によるむち打ちは、一瞬で頸椎(けいつい)、椎間板(ついかんばん)、関節包(かんせつほう)頸部の筋肉などを損傷してしまう恐れのある重い傷害なのです。
頸椎の損傷によるむち打ちとは
頸椎の損傷によるむち打ちでもっとも多いのが、頸椎捻挫(けいついねんざ)です。
首の骨を折るまでには至らなかったが、ねんざしてしまった状態です。
足首をくじいたことがある人なら、捻挫をすると歩けないことはないが、動くと激しい痛みを感じるのがお分かりでしょう。
頸椎捻挫もまさにその通りで、内部に内出血を起こしているので、首を動かそうとすると強い痛みを感じます。
交通事故によって負った頸椎捻挫は、早期に鎮痛と消炎を目的とした適切な治療をするべきです。
・椎間板の損傷
頸椎と呼ばれる首の骨の間にある縁系の軟骨が、椎間板(ついかんばん)です。
繊維状の軟骨組織でできている椎間板は、首の骨にかかる衝撃を和らげるクッションの役割をしています。
椎間板は、年を取ると老化現象により変形して、クッションの役目を果たさなくなるばかりか、時には、椎骨からはみ出して周辺の組織を圧迫し、椎間板ヘルニアを発症します。
椎間板の異常は、症状が現れる前から少しずつ変形が進んでいることもあります。
一説によれば、脱水による椎間板の変形は20歳を過ぎると始まると言われています。
椎間板の損傷によるむち打ちは、発症の原因をはっきりさせるために画像診断などの証拠を揃えることが求められます。
・関節包の損傷
関節を包む軟骨組織を関節包(かんせつほう)と言い、椎骨の間にある椎間板にも関節包があります。
むち打ちで関節包を損傷すると、骨が滑らかに動かなくなるので、頭を動かす、首を横に向けるなどの動作でも、強い痛みを感じることがあります。
交通事故によって負ったむち打ちの治療は、保険会社が治療費を打ち切ってきたりするトラブルもよくあるため、まずは弁護士へ相談してみてください。
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むち打ちの検査は、レントゲンやCTなどの画像診断のほかに、筋萎縮テストなどの神経検査や脳波検査がある。むち打ちが長引くようであれば、画像検査のほかの検査を受けるとよい。
医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
むち打ちの症状が長引く原因としては、筋肉組織の重傷、骨の損傷・神経組織の損傷などが考えられるので、MRIを主体とした精密検査をする必要がある。
交通事故が原因でむち打ちになった場合には、警察に通報する・病院にすぐ行く・保険会社が提示する示談内容で示談しないことがポイントとなる。
交通事故で怪我をした直後は自律神経の中の交感神経が活発に働いていて痛みを感じにくいため、むち打ちは症状を感じにくいと考えられている。