むち打ちの治療期間が長引き治療費が打ち切られてしまったら
交通事故で一番多い受傷がむち打ちです。
むち打ちは『首のねん挫』を指すのですが、症状は『首の痛み、頭痛、首の可動域の制限、眼精疲労、視力障害、耳鳴り、手や足のしびれ感、首・肩の凝り、めまい、吐き気、疲労感』など、人により症状が違い、1つだけでなくいくつもの症状が重なって出る人もいます。
レントゲンやCT・MRIで頸椎の異常や脊髄損傷がみられれば理由がはっきりしているのですが、むち打ちの多くは画像証拠など医学的な所見が認められにくいという点で問題があります。
つまり、『医師が診察をしても異常がないのに、患者は首の痛みなどを訴えている』という場合、本当にむち打ちで異常があるのか、患者が嘘をついているのか、客観的に見てもわからないということがあります。
そのため、むち打ちの治療期間は1か月や3か月で保険会社から治療費の打ち切りを言ってくることが多いです。
これは『打撲1か月、むち打ち3か月、骨折半年』という保険会社が基準としている治療期間があるためなのですが、軽微な事故であれば「1か月以上も治療期間がかかるむち打ちになる事故ではない」と保険会社が早めに打ち切りを言ってくることがあります。
適切なむち打ちの治療期間は?
むち打ちの実際の治療期間は、大半の方が3週間程度です。
しかし、足のねん挫で考えれば、多くの人が1か月以内で治りますが、ひどいくじき方をした場合にはなかなか治らなかったり、かなり重い場合には何か月も足を引きずる事もあるため、一概にねん挫は数週間で治ると言えるものではなく、首のねん挫であるむち打ちでも同様であるというのが分かると思います。
頭の重さは成人で5~6kgですので、ボウリングのボールで言うと11~13ポンドの重さになります。
5~6kgもある頭を直径10㎝ほどの細さの首が支えているのですから、常時首へ負担がかかっているため、起きているだけでむち打ちが痛み、終日寝ていないと過ごせないという方もいます。
軽微な交通事故でむち打ちになったのだが、身体を起こすだけで首が痛み1週間仕事を休む羽目になり、家族や会社から「ちょっとした事故なのに大げさな。」と言われたり、加害者側の保険会社から、「交通事故の規模から考えても、会社を休むほどとは思えないので、休業補償はできません。」と言われてしまったりするケースもあります。
そのため、治療費を気にしてしまい、無理やり治療期間を短くして打ち切る患者もいますが、得策ではありません。
2・3日おきに通院をし、担当医師に現在のむち打ちの症状を正しく伝えて、通院治療の必要性を医師に認めてもらえれば、保険会社から治療費の支払いの打ち切りを言われても、「医師からはまだ治療のために通院が必要と言われています。」と、対抗することができます。
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医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
むち打ちの症状が長引く原因としては、筋肉組織の重傷、骨の損傷・神経組織の損傷などが考えられるので、MRIを主体とした精密検査をする必要がある。
保険会社は交通事故によるむち打ちの治療は認めても、継続治療は認められにくいといった特徴があるため、完治するまではむち打ち患者側も対応策をとる必要がある。
一般的なむち打ちの場合、治療期間の最大は3カ月が目安とされているが、症状によってはそれを超える期間の治療であっても認める判決がある。
交通事故により負ったむち打ちを後遺障害と認めてもらうためには、医師の助言のもとに定期的に通院治療をしつつ、怪我と治療に関する記録を残しておくと良い。