保険会社はむち打ちの長期治療を認めない傾向がある?
交通事故による受傷の内、むち打ちは多くの割合を占めており、保険会社としても一番多く取り扱っている事故案件になると思います。
軽症のむち打ちであれば筋肉の損傷なので骨に異常はないため、MRIやCTでは判断できず、患者からの自覚症状の訴えのみになります。
そのため、言い方は悪いですが「交通事故に遭ったら、とりあえずむち打ちになったと言っておけば良い」といった風潮があり、ある意味保険会社もおりこみ済みの面もあります。
しかし、保険会社も長期のむち打ちの治療は認めていません。
ほとんどのケースで、2週間程度でむち打ちの治療を打ち切るよう打診してきます。
その時に医師から「まだ治療が必要」との診断がおりない場合には、強引に治療費の打ち切りを言ってくることもあります。
保険会社がむち打ちの治療を2週間程度と言ってくるのには、いくつかの理由があります。
一つ目に、一般的なむち打ちの治療は2・3週間までで終わるものがほとんどである点です。
足の捻挫などでも3週間もあればほとんどが完治しますし、それを超えて治らないのであれば、腱や骨の異常など、別の原因がありますので、単なる捻挫では認められることは少ないです。
2週間でのむち打ちの完治には大きな意味が
もう1つに、むち打ちと言えども人身事故であるという点です。
人身事故の場合、被害者に対する治療費などの補償である民事責任以外に、刑事罰と行政処分が関係してきます。
刑事罰は交通事故に対する刑法上の責任になりますので、裁判所から罰金や禁固・懲役などの処分が下されます。(不起訴の場合もあります)
一方、行政処分は分かりやすく言うと点数が加算されての免許停止や免許取り消し、罰金ということなので、最低でも4点以上の加点は免れません。
ここで問題となるのが、交通事故による被害者の受傷度合いです。
全治14日以下であれば4点であるのに対して、全治15日以上であれば6点以上に該当するため、一発免停は避けられません。
つまり、2週間で治療費の打ち切り(完治)とすると、交通事故以前に道交法違反をしていなければ、免停とならないことになります。
最後に一番大きな理由が、保険金の支払いを抑えて示談を早めたいという保険会社の考えです。
保険会社は1日に何百件もの交通事故の示談を処理しなければいけません。
そのため、むち打ちのような軽微な受傷だった交通事故の処理は、なるべく早く済ませたいというのが保険会社の本音となります。
また、治療を続けるということは、保険会社による治療費の支払いが増えるということですので、営利目的の保険会社からすれば支払いは少しでも減らしたいということになります。
とはいえ、交通事故の被害者であるむち打ち患者からすれば、加害者側の一方的な言い分となりますので、むち打ちの症状が完治しない間は、治療を続けた方が良いと言えます。
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医学的な画像診断が得られないむち打ちの場合、神経学的検査が行われることもあるが、絶対的な検査方法ではない。
むち打ちの示談金の内訳は、『治療費』・『休業補償』・『通院(入院)慰謝料』が大きなものであるが、慰謝料以外は支払いや補填に使われるため、実際に被害者に残るのは慰謝料のみである。
むち打ちの検査は、レントゲンやCTなどの画像診断のほかに、筋萎縮テストなどの神経検査や脳波検査がある。むち打ちが長引くようであれば、画像検査のほかの検査を受けるとよい。
交通事故によるむち打ちの治療が長引くのは、頸椎だけでなくその周辺の他の組織も傷付いているからである。後遺症が残った場合には後遺障害を認定してもらうために申請手続きに入る。
身体の構造上、交通事故に遭うとむち打ちになりやすく、日々の習慣から首を動かしてしまうため、治りにくいときがある。軽度のむち打ちで治りが遅い場合、詐病にみられる事もあるので注意が必要である。