むち打ちでの保険金の種類、積極的損害と消極的損害とは?
交通事故で保険会社から支払われる損害賠償金等は、一般的には「保険金」としてひとくくりにして認識されています。
交通事故に遭った事のない人からすれば、「交通事故の保険金はひとまとまりの金額」と考えていることが多いです。
しかし実際には、交通事故で支払われる損害賠償金等の種類は多岐にわたり、特に損害賠償は「積極的損害」と「消極的損害」にわかれます。
聞きなれない積極的損害と消極的損害ですが、交通事故によるむち打ちの場合どのようなものが、積極的損害と消極的損害となるか説明していきたいと思います。
実際の損害を示す積極的損害
積極的損害は、むち打ちとなったことで被害者が支払った損害を指します。
一番大きなものでは、治療費にあたります。
「交通事故に遭ったけれども、むち打ちの治療費は保険会社が直接病院に支払っていたので、自分自身は払っていない」という方もいらっしゃると思いますが、もともと治療費は交通事故の被害者が治療費を支払い、示談の際に実費を請求するというのが普通です。
しかし、被害者の方の過失がないもしくは過失が少ないという場合や過失が大きくても治療費が支払われる保険に加入している場合などでは、示談時に過失分の返金が発生しないと予想できるため、保険会社がはじめから負担することもあります。
これに付随して、病院と自宅間の通院のための交通費も認められています。
また、事故の際に自動車や身につけていた物が壊れたりした場合の、修理費や代替品の購入費用も積極的損害とみなされます。
一方、消極的損害とは「交通事故により得られなかった利益」のことを指します。
交通事故により得られなかった利益が消極的損害
交通事故のむち打ちのために会社を休んで病院に行った場合、会社を休んだために給料が減らされます。
交通事故に遭わなければ会社を休むこともなかったので、この減らされた給料が消極的損害となります。
そのため、減らされた給料の実費を証明する必要が出てくるため、サラリーマンなどは会社にその証明をしてもらうことになります。
自営業者に関しては、直近の売り上げなどで計算することもありますが、サラリーマン以外の場合は保険会社と金額において考え方の差異が出ることもあります。
また、専業主婦などで給料の算出自体が難しい場合には、自賠責保険では1日5,700円が、弁護士基準では賃金センサスを利用します。
(賃金センサスを基準とすると40歳女性で1日約9,500円)
むち打ちの交通事故ではまれですが、後遺障害等級が認められた場合には、将来的な給料の減収の逸失利益が認められる場合があります。
このように、積極的損害と消極的損害はもともとの損害に対する補償の性質が異なりますので、その内訳を理解することでスムーズに損害賠償請求をすることができます。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
むち打ちの保険金で、主に保険会社と揉めるのが治療費と通院慰謝料であるが、一概に保険会社が保険金の支払いを渋っているとは言いきれない場合もある。
むち打ちによって発生する損害は治療費だけではないので、治療が終わったら加害者の支払いは終わりではなく、その他の損害賠償金について話し合うべきである。
交通事故によりむち打ちとなった場合、むち打ちが完治するまで治療を続けると治療費が増えるので、治療を終えるまでは損害賠償請求ができない。
保険会社は交通事故によるむち打ちは軽微な受傷と考えているため、治療期間が3カ月を超えると、治療費の打ち切りを言ってくる可能性が非常に高い。
むち打ちは、自分の健康保険を使って治療することができる。特に、被害者の過失割合が大きい場合は、健康保険による治療により、受け取る保険金が増えることがある。