死亡事故において役立つ交通事故紛争処理センターとは
死亡事故の遺族が加害者と損害賠償金額について示談交渉を始めたものの、被害者と加害者の意見が一致せず、和解がむずかしい場合は、交通事故紛争処理センターに解決を依頼することができます。
交通事故紛争処理センター(略称紛セン)は、中立の立場で交通事故の相談・和解のあっ旋、および審査を無償で行う機関で、交通事故に詳しい弁護士等、法律の専門家が相談に乗ってくれます。
交通事故紛争処理センターの窓口は全国に10カ所あり、原則として、賠償請求をする人の居住地もしくは交通事故の発生地に対応する本部、支部または相談室が依頼された事案を担当します。
死亡事故の損害賠償金で示談が難航し、交通事故紛争処理センターに相談をすることに決めたら、まず電話で相談予約を申し込みますが、およそ電話申し込みから1カ月くらいで相談ができます。
相談できるのは平日のみなので、仕事を持っている人は交通事故紛争処理センターの利用がむずかしいかもしれません。
電話では、死亡事故についてや示談交渉の進み具合について質問されるので、メモを用意して電話しましょう。
交通事故紛争処理センターへの相談から和解までの流れ
相談予約の電話を入れてしばらくすると、利用申し込み書類等が送られてくるので、必要事項を記入します。
申し込み書は、死亡事故に関する資料などとともに初回相談日に提出します。
相談は、初回、2回目期日、2回目以降期日と、複数回行われます。
初回の相談は、交通事故紛争処理センターの担当弁護士と話し合いをします。
和解あっせんが必要であると弁護士が判断したら、2回目の期日に死亡事故の加害者側保険会社へ出席を求めます。
保険会社は、交通事故紛争処理センターから相談期日に出席することを求められたら、必ず出席しなければなりません。
その後、担当弁護士が必要と判断すれば、2回目以降の期日が指定されます。
なお、交通事故紛争処理センターの弁護士は、被害者または加害者のいずれを弁護する者ではなく、裁判に例えれば裁判官のように中立の役目を果たします。
交通事故紛争処理センターの弁護士があっ旋案を提示し、被害者と加害者の双方あっ旋案を受け入れ、交通事故紛争処理センターが提案する内容に合意したら和解が成立します。
ただし、すべての相談で和解が成立するのではなく、相談件数の1割未満は和解不成立となります。
2回目期日で和解が成立するケースが相談件数の約3割、3回目期日で和解成立が約7割あることから、交通事故紛争処理センターを利用することで、比較的早期に和解することがわかります。
和解が不成立になった場合は、審判もしくは裁判で結論を出すことになります。
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交通事故や死亡事故の加害者や加害者の保険会社に対する保険金の請求権は、2年もしくは3年であるため、時効以前に示談をしないといけないが、時効を中断する方法もあり、弁護士と相談をした方が良い。
死亡事故の遺族は、葬儀や示談・遺産相続など多数の手続きが必要となってくるため、弁護士にアドバイスをもらいながら手続きを進めていく方が良い。
死亡事故の被害者が示談交渉で困ったら、日弁連交通事故相談センターに無料で相談できる。日弁連交通事故相談センターでは、損害賠償額の計算や、過失責任と過失割合の相談などができる。
死亡事故で弁護士を雇う利点は、公的な手続きを代行してもらえる、加害者側の交渉を任せられるので直接会わずに済む、保険会社と交渉して保険金の増額が望めるなどがある。
死亡事故は、傷害事故と違い被害者が意見を述べることができないため、過失割合に納得できない遺族は、弁護士に事故を調査してもらって正しい過失割合を主張するほうが良い。