死亡事故における裁判外紛争解決機関とはどんなもの?
死亡事故の被害者となり、加害者側と損害賠償金について話し合いが進まず、こちらが希望する賠償金額と加害者が提示する金額がかけ離れている、加害者側が賠償金の支払いに応じてくれないなどのトラブルで困ったら、裁判外紛争解決機関を利用するという方法もあります。
死亡事故に対する裁判を起こせば、相手と和解できなくても、最終的には判決により法的に損害賠償額が決定します。
しかし、裁判は手続きが複雑なので、いくつものプロセスを経て結果が出るまで時間がかかり、早く賠償金を受け取りたいと望む死亡事故の遺族にとって、時間のロスは痛手です。
さらに、加害者が任意保険に加入していれば、裁判では保険会社がさまざまな資料を提出して争ってくるので、死亡事故に関する法律上の知識に乏しい被害者は、裁判で反論が厳しい場合もあります。
その点、通称ADR(Alternative* Dispute Resolutionの略)と呼ばれる裁判外紛争解決機関は、裁判のように時間がかからない上、費用をかけずに紛争を解決する手段を提案してくれます。
裁判は、経過や結果が官報に公表されますが、ADRは、紛争の内容が公表されることはありません。
裁判外紛争解決機関のメリット
裁判外紛争解決機関は、平成16年に制定された裁判外の紛争解決手続きの利用促進に関する法律に基づいて活動しています。
この法律は、裁判を起こさなくても、より簡便に民間で発生した争いごとを解決する手段を導入するために作られました。
裁判外紛争解決機関を利用すれば、争いごとの相手と直接交渉する必要がなくなり、裁判外紛争解決機関が間に入って、専門家が中立の立場で双方の意見を聞き、解決を図ってくれます。
裁判外紛争解決機関には弁護士などの専門家がいるので、法律上の知識が豊富で、具体的なアドバイスを受けることができます。
交通死亡事故問題を得意とする代表的な裁判外紛争解決機関を紹介します。
・公益財団法人交通事故紛争処理センター(通称紛セン)
日本全国に10カ所しかなく、相談依頼がとても多いので、混雑しています。
電話で予約してから決着するまで3カ月以上かかるので、スピーディーな解決を望む場合は、混雑状況を念頭に利用するかどうか決めてください。
・公益財団法人日弁連交通事故相談センター
被害者救済を目的に設立された裁判外紛争解決機関で、交通事故に詳しい弁護士が相談に乗ってくれます。
交通事故紛争処理センターほど混んでいないので、依頼してからそれほど待たずに相談できます。
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家族が死亡事故に遭った場合、警察や保険会社、あるいは葬儀社とのやりとりをしなければならない。それらの負担を抑えられるメリットがあるため、弁護士へ依頼するのもひとつの手段である。
死亡事故で弁護士を雇う利点は、公的な手続きを代行してもらえる、加害者側の交渉を任せられるので直接会わずに済む、保険会社と交渉して保険金の増額が望めるなどがある。
死亡事故では、加害者と被害者遺族間で、過失割合でもめることが多く、わずかな過失割合の差で金額が大きく変わるため、紛争となることもある。
死亡事故の相続人で意見が分かれた場合には、個別の示談を加害者側に申し出ることができるが、相続人同士で意見がまとまっている方が良いので、相続人同士の仲介を弁護士に依頼すると良い。
家族が死亡事故に遭った場合の示談のタイミングは、遺産相続が始まった際に始めるか、加害者の懲罰をどのようにしたいかを遺族が考えて行うとよい。