死亡事故で受け取った保険金。税金の支払いはどうなる?
死亡事故の場合、時として遺族が1億円を超える保険金を受け取ることがあります。
死亡事故の保険金は、法定相続人に損害賠償金の請求権があるため、相続税がかかると思っている人もいますが、基本的には相続税や所得税・贈与税などの税金はかかりません。
なぜならば、国税庁も
「所得税法では、心身に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金は非課税とされています。
このため、交通事故などの加害者から被害者の死亡に対する損害賠償金を遺族の方が受け取った場合には、所得税はかかりません。」
と法令で認めているからです。
そのため、死亡事故に遭い、死亡損害保険金が1億円支払われたとしても、税金は発生することはありません。
原則非課税でも税金が発生するものも
しかし、交通事故の状況によっては、保険会社から支払われる保険金がすべて非課税となるとは限りません。
死亡事故で事故から1カ月後に死亡した場合には、死亡するまでの治療費や慰謝料、1カ月間働けないことによる収益の補償をする損害賠償金が、死亡慰謝料とは別に発生します。
これらの治療費や慰謝料・損害賠償金は収入とみなされ税金が課されることがあります。
また、物に対する損害賠償金にも税金が課されることがあります。
具体的な例だと、死亡事故時に被害者が運転していた自動車が全損して、加害者から損害賠償金を受け取っていた場合です。
特殊な事例ですが、八百屋に加害者の自動車が飛び込み、店先で店主が亡くなったというようなケースでは、店主の死亡損害補償金が発生するだけではすみません。
「店においてあった商品が壊されたことに対する弁償」、「自動車により破壊された建物の修繕費用」、「修繕中は営業ができなかったので、その分の営業補償」、「修繕中、休んでもらっていた従業員に対する補償」など、保障しなければいけない対象が多岐にわたります。
もし、これらのお金を保険会社から死亡保険金と併せて支払われたとしても、それぞれの項目に対して事業所得の収入として計上したり、人件費として経理上の処理をしなければいけません。
個人対個人の死亡事故の場合、こうした金額は非課税の枠内に収まることが多く、収入として計上しないこともありますが、法人に対する補償の場合は何百万・何千万円もの金額となることもあり、税金も多額となる可能性があるため注意が必要です。
もしも、収入として計上し忘れると、脱税として追徴課税されることもあるため、弁護士に示談交渉を依頼している場合には、事前に税金に関して相談をしておく方が良いでしょう。
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交通事故の損害賠償金は被害者のものであるが、死亡事故の場合は被害者が死亡しているために、相続人が損害賠償金請求の権利を有することになる。
専業主婦の死亡事故でも、賃金センサスにおける逸失利益の計算が裁判でも認められ補償が支払われるが、保険会社が提示する示談金と大きな差が生じることがある。
死亡保険の請求権は法定相続権のある人だが、請求権者が複数の場合には代表した一人が保険会社との示談交渉を行う。
事故から数日生存した後に被害者が死亡した場合の死亡事故は、死亡事故の保険金以外にも、生存中にかかった治療費や休業補償も補償対象になる。
死亡事故で死亡した方の過失割合が大きい場合には、過失割合に応じて減額されるが、自賠責保険では被害者救済の面から特別な減額割合となる。