死亡事故での「過失割合」について知っておきたいこと
交通事故、とりわけ死亡事故に関しては、より大きい怪我や被害を負った方に同情が集まったりするのですが、交通事故を語る上で過失割合を避けて通るわけにはいきません。
「過失」とは失敗を意味する言葉なのですが、法律用語としては、「ある事実を認識・予見することができたにもかかわらず、注意を怠って認識・予見しなかった心理状態、あるいは結果の回避が可能だったにもかかわらず、回避するための行為を怠ったこと」を指します。
歩行者が青信号の歩道を横断中に、左折してきた自動車にはねられた場合には、歩行者に過失はなく自動車の運転手の過失が10になります。
しかし、自動車同士の交通事故の場合は停車中の自動車に突っ込むなどの特殊な事例でないと一方的な過失は認められず、被害者にも過失が有ったと1:9などの過失割合を科されることになります。
つまり、青信号で直進していて無理に右折しようとした対向車がぶつかって直進側の運転手が死亡した場合でも、過失割合が2あると認められると損害保険会社から支払われる保険金は80%に減額されることになります。
人身傷害保険ならば100%支払われる
交通事故の場合、過失の有る無しにかかわらず重い障害を負ったり、死亡事故では双方が死亡してしまうことがあります。
大黒柱である夫を失ったケースでは、相手方への賠償は損保会社がしてくれるとはいえ、過失割合が大きいと保険金がほとんど支払われないことになり、残された家族からすると生活ができず路頭に迷うことがあります。
それをカバーするのが人身傷害保険です。
人身傷害保険は加入者の過失割合にかかわらず、100%の保険金を支払う保険になります。
先程の交通事故の例で逆に無理に右折した運転手の立場から考えると、過失割合が8あるため保険金は20%しか支払われません。
そのため治療費が保険金でまかないきれないと言ったこともあり得るのですが、人身傷害保険に加入していれば満額支払われるため、十分な治療が受けられることになります。
また死亡事故では損害補償金が何千万となる事もあり、もし仮に満額ならば5000万円もらえるはずが、過失割合が9あった場合には500万円しか遺族に支払われないことになります。
そのため、保険料の安さだけに目を奪われ人身傷害保険に加入しておらず、実際に交通事故を起こしてから補償が満足に受けられないと嘆く人も多くいます。
人身傷害保険は契約者だけでなく契約者の同居家族や、「歩行中に自動車にひかれる」、「市バスに搭乗中に交通事故にあった」など自動車に関する事故にも補償をしてもらえるため、加入をしておく方が良い自動車保険の一つになります。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
保険会社は、自分たちに都合の良い判例を参考にして過失割合を主張するため、死亡事故の過失割合に納得できなかったら、弁護士に相談して十分な証拠を揃えて反論すべきである。
交通事故や死亡事故の加害者や加害者の保険会社に対する保険金の請求権は、2年もしくは3年であるため、時効以前に示談をしないといけないが、時効を中断する方法もあり、弁護士と相談をした方が良い。
死亡事故は、傷害事故と違い被害者が意見を述べることができないため、過失割合に納得できない遺族は、弁護士に事故を調査してもらって正しい過失割合を主張するほうが良い。
交通死亡事故で労災認定を受けた場合には、労災と自動車保険の両方を利用する方が、受け取れる保険金の合計額が多くなることが多い。
賃貸オーナーの場合、収入は所有する不動産が生み出しているため、死亡事故で亡くなったとしても、逸失利益が認めてもらえないケースもある。