死亡事故で相続放棄をした方が良いケースとは
「死亡事故時の相続の注意点、相続放棄する前にすべきこと」でも触れましたが、死亡事故で亡くなった被害者が、多額の借金を抱えている場合には相続放棄をした方が良いというのは分かられたと思います。
ですが、死亡事故の死亡者が多額の借金を抱えていた以外でも、相続放棄をした方が良いケースがあります。
1つは、死亡事故の死亡者が被害者ではなく、加害者であった場合です。
死亡事故の場合、死亡した人間が被害者であるとは限りません。
テレビでよく暴走のニュースで、「通行人をはねたあと運転手は電信柱に激突して死亡」というものがありますが、このような場合運転手の家族に支払われる保険金よりも、怪我をした人に対する損害補償金が莫大なものになる可能性があります。
加入していた保険会社の契約内容が充実したものであって、被害者に対して十分な補償が出来るのであればよいのですが、そうでなければ損害賠償の責は加害者の家族が負うことになります。
なので、死亡事故や自動車保険の内容によっては、相続放棄をした方が遺族の以後の生活を守ることができることがあります。
特殊な事例で相続放棄した方がいい例も
もう一つが、死亡事故の死亡者が連帯保証人となっているケースです。
会社の経営者や役員の場合などに該当するのですが、知人や会社の連帯保証人となっている場合、相続すると連帯保証人の責も相続することになります。
債務者がきちんと返済しているのならば問題はないのですが、もし夜逃げや倒産などをしてしまった場合には、その債務を負うことになります。
そのため、死亡者が連帯保証人になっているのであれば、債務者の返済状況の確認をした上で、相続放棄するか否か決める必要があります。
もう一つ特殊な事例が、相続順位を省略するケースです。
例えば、父親が交通死亡事故にあい相続人が母親と子供のケースでは、通常ならば母親と子供が半分ずつの相続になります。
その後、母親が死亡したら子供が相続するという形になるのですが、そうすると2回相続が起きることになります。
相続が2回起こることにより、父親名義の不動産に対して2度相続登記をする必要が出てくる時があります。
そうなると費用が掛かるだけでなく手間も2倍になるため、父親の相続の時に母親が相続放棄をすれば、子供が単一で相続することができます。
また、もともと母親の資産が大きく、父親の保険金を受け継いだ後に子供が母親の相続をしたら相続税が多額にかかるケースでは、母親が相続放棄をして父親の保険金を子供が受け取る方が節税になるケースもあります。
どちらの場合も、弁護士が調査してから相続放棄するか決めた方が良いので、相談してみるとよいでしょう。
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被相続人に多額の借金がある場合には相続放棄をすることが多いが、死亡事故の場合には保険会社の保険金請求権も放棄してしまうことになるため、相続放棄する前に弁護士に相談した方が良い。
死亡事故による自動車保険の保険金は相続財産となるが、生命保険は相続に含まれないため、遺産放棄をしてから生命保険を受け取った方が、手元に残る金額が大きくなることがある。
死亡事故で多額の死亡保険金が入ると、法定相続割合での相続とならないこともあるので、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成した方が良い。
家族が死亡事故の被害者となり、相続放棄をする場合、相続放棄の期限が死亡したことを知ってから3か月なので、死亡事故の場合は早期に弁護士に相談するとよい。
交通事故の損害賠償金は被害者のものであるが、死亡事故の場合は被害者が死亡しているために、相続人が損害賠償金請求の権利を有することになる。