遷延性意識障害となり示談交渉に身内が介入してきたら?
交通事故の示談でもめごとが起きていると聞くと、加害者と被害者の意見が対立していると思い浮かびますが、被害者や被害者家族間といった身内で示談の方針を巡ってもめることも多くあります。
被害者が存命で意思表示をできるのならば、被害者の希望に沿った示談を勧めることも可能ですが、被害者が遷延性意識障害で意思表示できない場合には、被害者の身内間で紛争が起きるケースがあります。
例えばAさんが交通事故で遷延性意識障害となり、妻の他に子が2人、Aさんの両親と2人の兄がいたとします。
この場合、妻と子が主体となって示談をするべきだと考えられますが、Aさんの両親やAさんの兄たちが示談に口を挟んでくるというのはよくあるケースです。
Aさんの両親や兄たちが、AさんやAさんの妻子のことを考えてアドバイスしてくれるのならばまだマシなケースなのですが、中には支払われる保険金目当てで示談の主導権を握り保険金を横取りし、遷延性意識障害のAさんの世話はAさんの妻に丸投げして、Aさん家族の生活が困窮するというケースもあります。
誰のための示談なのか?
そもそも、交通事故の示談は交通事故の被害者の救済に当てられるべきなので、直接的に関係のないAさんの両親や兄弟の意見は参考にしても従う必要がありません。
つまり、遷延性意識障害患者である被害者のAさんと、その世話をするAさんの妻と子が生活を出来るように救済されることを考えなければいけません。
そのため、Aさんの介護や治療費用などが最優先事項で、その後Aさん家族の補償を同時に考えていくのが本道となります。
家族関係などから義理の両親などのアドバイスを、むげに断れないという立場もあるのも理解できます。
しかしながら、妻が主張しないことを良いことに、義理の両親が加害者側と勝手に示談をしてしまい、妻がそのことを後で知り義両親と加害者側を相手どり、裁判にまで発展するといったケースも多々あります。
こういったケースの場合、先に弁護士に依頼をしておくとトラブルが少なくなります。
弁護士に依頼すれば、加害者との交渉を一手に引き受けてくれるだけでなく、判例に沿った示談内容で請求するために、結果的に示談金額がアップすることがあるというのは知られていますが、何かと口を挟んでくる身内に対しても、「弁護士に任せているので、大丈夫です。」と、干渉をシャットアウトすることができます。
万が一、身内が勝手に加害者側の保険会社と示談しようと思っても、保険会社も弁護士が代理人となっていることが通達されているため、勝手に示談することはありません。
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遷延性意識障害の示談金は数千万円になる事が多いが、保険会社が提示する金額は判例よりもかなり低いため、示談前に示談内容を弁護士に確認してもらうとよい。
交通事故により負った遷延性意識障害の示談をする場合、将来的な介護も考えて交渉しなければいけないので、弁護士に相談をして示談交渉を進めるとよい。
交通事故の遷延性意識障害の示談の場合、示談のタイミングが難しいのと示談金額の交渉が難しいため、弁護士に任せた方が良い。
交通事故の示談交渉で保険会社から遷延性意識障害患者の余命は10年ほどとの主張がなされる時があるが、裁判所は平均余命を採用している。
遷延性意識障害は交通事故を原因とする傷病の中でも、損害賠償の金額が極めて高額になりやすい。その点、保険会社と争点になる事も珍しくないため、弁護士を雇うことを視野にいれるべきである。