家族が遷延性意識障害となった際に職業介護人を雇う利点
日本では家族内に介護が必要な人間が出ると、職業介護人に頼らず、家族間だけで介護をしようとする風潮がまだまだあります。
家族なので、もちろん愛情を持って介護できるという利点がありますが、自分を犠牲にしてまで患者に尽くすというのは、患者家族にとって筆舌に尽くしがたい重責となることもあります。
特に遷延性意識障害の場合、患者の身の回りのことは全て介護人がおこなわなければいけないため、ある意味365日24時間対応しなければならないことになります。
遷延性意識障害に関わらず、重度の障害を持つ患者の介護をしている家族は、いわゆる「介護疲れ」から介護の放棄や、時には命に係わる悲しい選択をすることもあります。
それにもかかわらず、「妻なのだから」「一人息子の嫁なのだから」と、家族という束縛から遷延性意識障害患者の介護を家族間で解決しようと、他の親族が介護を押し付けるケースもあり、親族間での争いの火種となりかねないこともあります。
職業介護人の上手な雇い方
そこで必要となるのが職業介護人です。
介護制度の制定により、ホームヘルパーや派遣看護師などの認知度が上がってきていますが、費用面からだけでなく、「他人に介護を任すなんて、家族としていいのか?」という心理的な抵抗から、利用しないという方もいます。
しかしながら、今は遷延性意識障害患者の介護が出来ていても、10年先・20年先に介護するだけの体力も気力も備わっているかと問われた際に、即答できる患者家族は少ないと思います。
職業介護人が必要になるまで、体力的にも精神的にもギリギリになってあわてて雇うよりも、比較的早期から職業介護人を雇う方が患者家族の負担は圧倒的に軽くなります。
また、早期から雇うことにより、患者家族自身が職業介護人への理解を深められるほか、遷延性意識障害患者自身も職業介護人に慣れることができる利点があります。
職業介護人側からしても、遷延性意識障害患者や患者家族との付き合いが長期になるほど、介護がしやすくなるという利点もあります。
遷延性意識障害患者が交通事故の被害者である場合、加害者や加害者側の保険会社に職業介護人を雇うことを含めた損害賠償請求を行うことができます。
そのため、交通事故で弁護士事務所に相談にこられた遷延性意識障害の患者家族の中には、弁護士から職業介護人の雇用費用も請求できることをはじめて知らされて、自宅介護に踏み切る方もいらっしゃいます。
交通事故で家族が遷延性意識障害となった場合は、交通事故の状況に関わらず弁護士に相談をしてみた方が良いでしょう。
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交通事故の加害者側に、遷延性意識障害患者の自宅介護の費用を請求するには、患者家族がクリアしなければいけないハードルがいくつかある。
遷延性意識障害は基本的に介護が必要となる。職業介護人を雇う、あるいはご家族が介護をするにしても、加害者側へ介護費用を請求できるため、弁護士を雇い、相手の保険会社と交渉してもらうのが望ましい。
遷延性意識障害患者の家族が就業しており、家族での介護が難しい場合でも職業介護士を雇って介護することは可能であるため、示談時に将来的な介護費用を請求するとよい。
交通事故が原因で遷延性意識障害となった後は、ご家族あるいはヘルパーにおける介護が求められる。将来的に介護をしていく上でいくつかの注意点がある。
若年の遷延性意識障害患者は余命が長く、介護期間も長くなる傾向があり、様々な問題が起きやすいため、弁護士に事前に相談をしておく方がいい。