遷延性意識障害と高次脳機能障害の違いとは
交通事故での脳に関する障害でよく取り上げられるのが、遷延性意識障害と高次脳機能障害です。
交通事故を取り扱っている弁護士のサイトなどでは、「遷延性意識障害(高次脳機能障害)」と、一般の方の勘違いを招きやすい表現が使われていることもあるせいか、遷延性意識障害と高次機能障害を混同している人もいます。
しかし、実際には大きく異なります。
遷延性意識障害は自分で動くことも出来ず意識がない状態なので、見た目には寝たきりの状態です。
しかし、高次脳機能障害の場合は、健常者と変わらず体を動かすことも、会話することも出来る人もいるため、一見して高次脳機能障害と分からないことが多いです。
高次脳機能障害は見た目では診断できない
遷延性意識障害と高次脳機能障害が違うものということはお分かりいただけたと思いますが、では、高次脳機能障害はどういった症状が出るかというと、高次脳機能である認知能力に障害が出ます。
認知能力の障害と言うと難しそうに思いますが、「認知症」を思い浮かべてもらうと、大体の症状は想像できると思います。
「交通事故の後、家の鍵を置いている場所をすぐ忘れる」「毎日乗っていたはずの自動車のエンジンのかけ方がわからない」「テレビのリモコンを見ても、「リモコン」と言う名前が分からないだけでなく、使い方もわからない」といった記憶に関する障害により、日常生活が困難となることがあります。
また、「5分前に言ったことが覚えられない」「買い物に行ったはずが、なぜ外出したのかわからなくなる」といった、短期記憶に障害が出ることもあります。
他にも、「『手を振って』など簡単な指示でも理解できない」「周囲の状況が理解できず無反応になる。もしくは頓珍漢な行動をとる」「突然怒り出したりする」といったコミュニケーションに関する障害が現れる人もいます。
交通事故後このような症状が出ても、「もう65歳だし、認知症がはじまったのかしら」とか、「交通事故で入院していたから、会社に来ても本調子じゃないのかな?」と、見過ごされてしまったりします。
高次脳機能障害となる原因は交通事故の衝撃により脳に損傷を負ったり、低酸素症で脳にダメージがあったりすることがほとんどです。
一方、認知症は老化による脳の委縮などが原因となるため、一見して同じ症状でも違うものということになります。
そのため、交通事故で見た目に怪我がなくても、CTやMRIで頭部の検査が必要なのは高次脳機能障害のリスクも踏まえてのことなのです。
もし、交通事故後にこういった症状が出たら、すぐに病院で精密検査を受けた方が良いでしょう。
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医学的な遷延性意識障害の原因は様々あるが、主な原因は脳の細胞が何らかのダメージ受けて死滅・破壊されることである。
自動車事故対策機構(NASVA)は、遷延性意識障害などの交通事故被害者の援護をする独立行政法人で、療養センターの入所や介護料の支給などの支援をしている。
交通事故に遭い遷延性意識障害となった場合、遷延性意識障害患者は健常者と比べて感染症に罹患する確率が高いため、自宅介護する場合には介護者が日頃から十分に観察とケアをする必要がある。
遷延性意識障害は、主に知覚や意識を司る大脳が交通事故などにより損傷することでこん睡状態となった状態を指す。
遷延性意識障害を発症した人の5割は交通事故が原因である。これは、頭部や胸部を強打して脳に深刻なダメージを受けて脳の機能を失うためである。