遷延性意識障害患者の栄養摂取の問題について
遷延性意識障害の患者の栄養補給は、主に経管による栄養摂取になります。
簡単に言うと、流動食や液体を管を通して胃に流し込むか、胃ろうを通じて胃の中に入れることになります。
このような栄養剤は専用食となっており、治療を受けている病院から処方されます。
また、病院に頻繁に通えない、もしくは病院や近くの薬局で取り扱っていない場合には、専用食を作っているメーカーから直接購入することができます。
大手では森永乳業のクリニコ、明治乳業のメイバランスなどが流動食・介護食として販売されています。
これらの介護食は栄養バランスが取れていて、患者の消化の負担が軽くなるように作られています。
しかし、流動食をきちんと与えていれば遷延性意識障害患者の栄養管理はバッチリかというとそうではありません。
流動食でおちいりがちな問題点を、ここでは説明していきます。
流動食は完全食品ではない
まず一つに、流動食だけで必要な水分量が賄えない点です。
60kgの成年男性で一日に3リットルの水分が必要になるので、遷延性意識障害で寝たきりで活動が抑えられていると言っても、2リットルは必要になります。
そのため、流動食以外にも適切な水分補給が必要となります。
もう一つに、低エネルギー症のリスクがあります。
流動食は、ビタミン・ミネラル・カルシウムなどの栄養バランスはよいのですが、たんぱく質や脂質などの主に体のエネルギーとなる成分が不足しがちになります。
遷延性意識障害の患者とはいえ、基礎代謝分の栄養がなければ栄養失調となってしまうため、注意が必要です。
そのため、病院に通院していたり、訪問看護を受けている場合には、食事に関しての相談をよく行い、必要に応じて水分補給やハイカロリー輸液の点滴、高カロリー流動食の処方をしてもらうと良いでしょう。
もう一つが、栄養の偏りです。
「栄養バランスが取れている流動食なので問題はないのでは?」と思われるかもしれませんが、健常者の食事を考えればイメージができると思います。
例えば、キャベツにはビタミンCが含まれていますが、ビタミンU・ビタミンK・カロテン・葉酸など様々な栄養が含まれています。
つまり、栄養学で言われる一日に必要な栄養類の他に、体の調子を整えたり、体を丈夫にしたりする成分を、多種類の食品を食べることにより摂取できているのです。
しかし、流動食であるとそういった栄養の摂取は望めませんので、遷延性意識障害患者の日々の健康管理には注意する必要があります。
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職業介護人による遷延性意識障害患者へのケアは、条件が緩和されたこともあり、できる項目が増えたが、医療行為に抵触するためできない項目もある。
遷延性意識障害のケアは、食事や投薬の管理のほか、体位変換、排泄のお世話や体の清拭、口腔内の洗浄など、医療的なものから一般的なものまで多くの種類がある。
若年の遷延性意識障害患者は余命が長く、介護期間も長くなる傾向があり、様々な問題が起きやすいため、弁護士に事前に相談をしておく方がいい。
交通事故で遷延性意識障害となった場合、加害者に対して職業介護人の雇用費用を請求できることもあるので、弁護士に相談をした方が良い。
遷延性意識障害の患者の食事は、経口よりもチューブによる経管方法が使われる。より容易な食事方法として、胃ろうによる流動食の摂取もある。