高齢者の脊髄損傷は交通事故によるものと認められないことも
交通事故は全年齢の方が遭われるのですが、児童・幼児や高齢者がより交通事故に遭われる確率が高いです。
児童や幼児は注意力が未発達で経験も浅いため予測することが苦手な事が多く、『車道にボールが転がった』といったような場合、『車道だから危ない』の前に『ボールが転がったから取りに行かないと』と、目の前の事情を優先してしまう事が多く、事故に巻き込まれることがあります。
一方高齢者の場合は、加齢による身体能力の低下のほか、認知症など老化による判断能力の低下などが主な原因にあげられます。
交通事故による脊髄損傷患者の多くは50歳以上の方が多く、若年層では少なくなる傾向があります。
これは交通事故の規模も関係してきますが、身体的な問題が大きく絡んできます。
若い時には体の関節も柔らかく骨も丈夫ですが、加齢により関節が固くなり骨も脆くなってきます。
そのため、同じような交通事故に遭われた場合でも、若者ほど受傷率が低く年齢が高くなるほど重症化する傾向があるため、脊髄損傷患者も高齢者ほどなりやすいとも言えます。
脊髄損傷=交通事故のせいと認められないケースも
交通事故が原因の高齢者の脊髄損傷患者の割合は高いのですが、交通事故後の検査で脊髄損傷が見つかっても、即『交通事故による後遺症』と認められないケースもあります。
脊髄損傷を負う原因は、交通事故や階段からの転落といった事故を思い浮かべることが多いですが、高齢者では『知らず知らずに脊髄損傷になっている』ことが多々あります。
加齢により骨がもろくなっているため、ちょっとした衝撃で脊椎を骨折してしまい、折れた骨が脊髄を傷つけたというケースや、加齢により骨が変形し脊椎内で骨に突起が出来て脊髄を傷つけたといったケースです。
軽微なひび程度の骨折ならば、「少し背中が痛いけど、筋肉痛かな?」と放置して気が付かないこともあり、脊髄損傷で足や手に軽いしびれが出ても、「もう年だし。」と本当の原因に気が付かないことも多いのです。
そのため、交通事故に遭って検査をして脊髄損傷個所が見つかっても、交通事故以前からあった脊髄損傷だと診断されてしまうと、交通事故の後遺障害と認められず、後遺障害慰謝料を受け取れなくなります。
交通事故以前は麻痺などの症状が無く交通事故後に症状が出た場合などは、後遺障害だと主張しやすいのですが、交通事故以前から軽い麻痺などの症状があり交通事故後症状が重くなった場合だと、「持病が悪化しただけ。」と加害者側から主張されることが多いので、交通事故による後遺障害に詳しい弁護士に相談をして、示談を進めていく方が良いでしょう。
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高齢者の脊髄損傷患者の場合、交通事故後の後遺症状が加齢によるものと似通っていて程度が同レベルの場合には、後遺障害認定がされないこともある。
交通事故が原因で脊髄損傷を負っても後遺障害等級が非該当になる場合もある。訴訟を起こさないためにも早い段階で交通事故の対応に優れている弁護士に相談すべきである。
交通事故による脊髄損傷において後遺障害等級が必ずしも正しく認定されているわけではない。弁護士に依頼して異議申し立てを行えば、適切な対策が立てられるため、まずは弁護士に相談するのが望ましい。
交通事故に遭い脊髄損傷を負って後遺障害が残った場合には、逸失利益が発生するが、被害者の職種などによっては、実情の損害とそぐわない逸失利益の額となることがある。
脊髄損傷のMRIで異常所見が得られるかどうかは、装置の解像度のほか医師の診断スキルや方針にも影響される。しかし、3.0ステラの装置や大病院の医師なら必ず異常を見つけられるわけではない。