現在の脊髄損傷の治療法はあるのか?
交通事故に遭った際に、一時的に体が動かず麻痺が起こったような状態になる事があります。
これは一時的なショックによるもので、脊髄自体に損傷がなければ24~48時間以内に徐々に収まり通常の感覚が戻ってきます。
そのため、レントゲンやCT・MRIなどで、脊髄の断裂が確認できない場合、医師であっても交通事故直後に脊髄損傷の診断を下すことはできません。
レントゲンなどで脊髄の断裂が確認できたり、ショック症状から抜け出た後でも麻痺が治らず医師が診断を下したりした場合に初めて、脊髄損傷と認められます。
通常の傷病であれば治療が始められるのですが、脊髄損傷の場合は治療することはありません。
なぜならば、脊髄は傷がついたり断裂したりしてしまうと、末梢神経とは違い回復することがないからです。
つまり、脊髄は一度傷ついてしまうと回復不可能であるため、現在の医学では治療法がありません。
それゆえに、交通事故で脊髄損傷となった場合でも、まずは外傷や骨折などの治療が行われ、脊髄損傷に関してはリハビリを中心として行われます。
脊髄損傷の治療法の未来
現在の医療では治療法がないと言われている脊髄損傷ですが、多くの医療機関や科学者が治療法を研究しています。
一番有名なものはiPS細胞です。
iPS細胞は人工多能性幹細胞と呼ばれ、一つの卵子と一つの精子が様々な体の細胞に変化成長する特性を人工的に再現した細胞で、再生医療に応用できないかと言われています。
将来定期には生体間移植しかなかった治療方法も、患者自身のiPS細胞で作られた臓器を移植することができれば、ドナー問題や拒絶反応の問題もなくなるため、現在一番勢いのある医療研究分野と言えます。
iPS細胞の臨床データでは、従来の「一度傷ついた哺乳類の脊髄は元には戻らない」と言う定説を覆し、ラットやサルなどでの脊髄の再生が確認されているため、大いに期待が寄せられています。
脊髄損傷の治療においても、人に対してiPS細胞により傷ついたり断裂した脊髄を回復させる試みが、2017年より臨床試験として行われると日本再生医療学会より発表されています。
また海外では神経の伝達が電気信号であることに着目し、脳からの指令を脊髄を通してではなく、電子機器を利用して直接腕や足などに信号を送り、動かすと言った試みもされています。
将来的には脊髄損傷は不治の病ではなく、iPS細胞などの再生医療で治る病気となる事も夢ではないのかもしれません。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
脊髄損傷となった場合、体の傷が治癒し始めると早急にリハビリ計画が立てられ、リハビリをしていくことになる。麻痺をした部分であってもリハビリテーションの有用性がある。
脊髄損傷での患部回復の可能性はないとされ、治療では脊椎の安定、さらなる損傷の予防、リハビリ促進を目的とする。一方で、脊髄の再生を目指す医学的研究が続けられ、興味深い結果が出ている。
脊髄損傷のリハビリ期間は、ADLを習得するのに6カ月~2年が一つの目安とされているので、患者はリハビリに専心して交通事故の示談は弁護士に任せる方が良い。
脊髄にかかる衝撃が保護している範囲の限界を超えると脊髄を構成する神経が傷ついて脊髄損傷になる。脊髄損傷となった場合には、まずは弁護士へ相談するのが望ましい。
遠方地で交通事故に遭い脊髄損傷で入院した場合、 移動に耐えうる容体と転院先が確保できていれば、治療中であっても転院をすることができる。