通勤中の交通事故は、自賠責と労災どちらへ請求する方が得?
【質問】
通勤中、住宅街の中の少し狭い道路を直進していたところ、交差点で一時停止を無視した車に右側から衝突される交通事故に遭いました。
こちらが優先道路であり、先方の過失が大きいと思われます。
痛みが肩から腕の部分に集中していて、入院するほどではなかったもののしびれがなかなか取れず、今も整形外科に通院しています。
相手の方は任意保険には加入しておらず、利用できるのは自賠責保険のみです。
これに加え、通勤中の交通事故だったので、自分の会社の労災保険が使えることが分かりました。
そこで、自賠責と労災の双方に後遺障害等級認定の手続きをしてみたところ、労災では14級に認定され、自賠責では非該当でした。
同じ症状で手続きをしているのに、認定等級が違うということはよくあるのでしょうか?
この場合どう対処すればいいのか、どちらの保険から請求を行うほうがいいのかを知りたいです。
痛みが無くならず不便なだけでなく精神的ストレスも多いですし、交通事故に遭ってから仕事の効率も落ちてしまっています。
もらえる分の慰謝料はしっかりもらっておきたいのです。
【回答】
自賠責と労災、それぞれに認定された後遺障害等級が一致しなかったり、一方だけが非該当になるケースは時々見られます。
原因として、診断書を作成する時期や医師が異なったために診断書の内容が違っていたり、後遺障害有無の判断のために必要とする検査結果基準が、自賠責と労災で異なっている可能性があります。
診断書を書くのもそれを審査するのも人間なので、症状の捉え方や書き方、判断が微妙に違ってくることはあるものです。
認定結果が納得できない場合に、自賠責では異議申立て、労災では審査請求という制度を利用して、再度認定審査し直してもらうことができます。
ただし、認定結果を変えるためには、十分な根拠となる資料を再提出しなければなりません。
そして自賠責と労災、どちらの保険に請求をするのがいいのかは、ケースバイケースであり、一般的には労災から先に申請したほうが有利になることが多いようです。
労災には、支給基準に基づく限り支払いに限度額はなく、過失相殺もありませんが、あくまで労働者に対する支払いなので慰謝料の支給はありません。
労災の申請を先行する場合、慰謝料や差額分を自賠責に請求することとなります。
一方の自賠責保険には慰謝料が含まれますが支払い額に上限があり、被害者側の過失が7割以上になると支払額は2~5割相殺されます。
自賠責を先行した場合、労災の支給基準から自賠責受領分が控除されます。
どちらが得なのか判断が難しいときには、交通事故に詳しい弁護士に相談してみるといいでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
保険会社は約款に従って賠償金を支払うため、個人で裁判所基準の賠償金を要求しても応えてもらえない。交通事故の示談段階でも、裁判を起こすにしても、賠償金額を増やすには弁護士へ依頼すると良い。
交通事故における過失割合は、被害者が請求する賠償金に大きく影響する。相手の保険会社が決定した過失割合に納得いかない場合、根拠のある反論が求められる。
交通事故に遭われた被害者が受け取れる賠償金を増やすためには、自身で事故後の処理を進めるのではなく、弁護士に依頼し、弁護士基準で慰謝料を請求するのが望ましい。
交通事故では加害者と被害者のどちらからも損害賠償請求が可能で、被害者請求を自分で行うこともできるが、示談内容が自分に不利になっていないかどうか、弁護士に相談しておいた方が安心である。
交通事故の場合、過失割合に沿ってお互いがお互いの損害賠償をしなければいけないため、過失割合が小さくても負担が大きい時がある。