交通事故により学習に遅れが出た場合の学費は請求できる?
【質問】
1カ月前に高校2年生の息子が交通事故に遭い、現在入院中です。
背骨と骨盤を折る重傷で、4カ月の入院が必要だと言われました。
自宅に戻ってからの治療やリハビリを考えると、完治に1年近くかかるかもしれず、現在高校も休学の状態です。
4カ月入院をしなければいけないため、高校の授業の単位が足りず留年の可能性も高いです。
もし、自宅に戻ってからも通院治療やリハビリがうまくいかなければ、4月をまたいでしまうため、2年留年する可能性すらあります。
息子が通っているのは私学の進学校のため、長期に休んでしまうと授業についていけず、かなりの遅れが出てしまう可能性があります。
せめて学習の遅れがないようにと思っているのですが、塾に通うわけにもいかず、家庭教師を雇おうかとも思っています。
しかし、学習に遅れが出ないように家庭教師を雇うことになると、長時間の家庭教師を雇わなければならず、しかも長期間となるため、かなりの費用が必要となると思えます。
家庭教師を雇う費用や高校を留年したことによりまた支払わなければいけない高校の授業料などの学費を加害者に請求することはできるのでしょうか?
【回答】
交通事故で怪我を負った場合、長期間の入院が必要となったり、退院した後も自宅での長期療養が必要となることがあります。
社会人の場合には休業補償という形で給料の補償がありますが、勉強が本分の学生の場合は学校の授業についていけなくなるなどの、学習の遅れが発生する可能性があります。
判例では、学習の遅れを補うための学費に対しての費用が認められることがあります。
怪我の程度や年齢、家庭状況により裁判所が判断しますが、家庭教師や塾代などの実費が認められます。
また交通事故の怪我により留年を余儀なくされた場合には、授業料などの学費に加え、教科書代などの書籍代も認められます。
少し変化球のところでは、怪我により自宅から学校に通うことが困難となったケースで、通学のために学校近くに借りた賃貸マンションの賃料も、加害者側が支払うという判例もあります。
そのため、交通事故のために生じた学費に関しては、必要な物であれば請求をすることが出来ますが、一個人で保険会社に請求をしても「個人差がある」などの理由をつけて支払いたがらないため、弁護士からその他の損害賠償に含めて学費も請求する方が良いです。
また、裁判となった場合に裁判所が必要な学費と認める範囲の見極めも難しいため、交通事故に精通した弁護士に相談をする方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故の怪我が原因で入院した場合、被害者は個室を希望される場合が多い。しかし過去の判例からすると、そのほとんどは個室料金の請求が認められていない。
交通事故により大学などを留年した場合は、医学的な診断書と学力面での証明ができれば、授業料などの学費の損害賠償請求をすることができる。
加害者の持病が原因で起こった交通事故の場合でも、加害者に責任能力を問うことができる可能性が非常に高く、損害賠償請求もできる可能性が高い。
交通事故の示談とは、交通事故で被害者が受けた被害に対して、被害者と加害者の間で損害賠償金額や支払い方法などを、取り決めることである。
交通事故が原因でPTSDを発症した場合、後遺障害として認定されることもあるが、近年は厳格化しているため、事前に交通事故に詳しい弁護士に相談した方が良い。