同乗者の私に損害賠償請求が…支払わなくても良い?

【質問】
彼氏の自動車に同乗中、交通事故に遭いました。
友達との待ち合わせに遅れそうで、晩酌中だった彼氏に送ってもらうことにし、急いでもらうように言っていたのですが、彼氏がスピードの出し過ぎによりハンドル操作を誤り、さらには信号無視の形で交差点に突入してしまったため、2台の自動車と衝突事故を起こしました。
被害者の一人は骨折で入院しており、もう一人は交通事故の3日後に亡くなりました。
警察からは悪質な危険運転と言われており、相手側の保険会社から過失割合は、それぞれ0:10と1:9と言われており、任意の自動車保険に加入していなかった彼氏では、払いきれないほどの損害賠償請求がされています。
そのため、保険会社からは「危険運転を煽った同乗者にも責任がある」と、損害賠償請求をされています。
実際、警察からも「危険運転致死傷幇助」に問われる可能性があるとは言われていますが、事故を起こしたのは彼氏なので納得がいきません。
この場合、同乗者の私も損害賠償金を支払わなければいけないのでしょうか?
【回答】
飲酒運転の厳罰化から、「危険運転致死傷幇助罪」という刑罰が脚光を浴びています。
危険運転致死傷幇助罪とは、「運転手が飲酒や薬物などで、安全な運転が出来ないと知っていたにもかかわらず、運転をさせた」もしくは「スピード超過や蛇行運転など危険な運転を指示した」という場合にも適応されるケースがあります。
質問者の場合、「運転手が飲酒しているのを知っているにも関わらず、運転を依頼した」「遅れそうだからと、スピードを出すように指示した」と両方に該当するため、警察も悪質とみなし危険運転致死傷幇助罪に該当すると判断したと思われます。
判例でも、危険運転致死傷幇助罪に問われた同乗者が、相手側から損害賠償請求をされたというものがあり、ほとんどの場合で同乗者に損害賠償金の支払い義務が発生しています。
この場合、運転手・同乗者それぞれに過失割合が科されますが、被害者側からすればあまり意味はありません。
なぜならば、共同不法行為であるため過失割合に関わらず、被害者側は運転手・同乗者のどちらかに損害賠償金の全額を請求することができるからです。
相談者のケースでは、被害者側の保険会社が運転手だけでは損害賠償請求の支払い能力がないと考えたため、同乗者の質問者にも請求をしたのでしょうが、交通事故の被害者からすれば、至極まっとうな請求となります。
そのため、質問者も危険運転致死傷幇助罪が確定した際には、損害賠償金の支払い義務は免れないものと思われます。
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交通事故における過失割合で加害者と揉めた場合、加害者の主張が不当であるケースでは、弁護士を介入させ、対処する方法がある。過失割合における口論を個人でまるく収めるのは、容易ではない。
運転手が飲酒運転をしていることを知り、同乗していて事故に遭った場合、保険会社から支払われる保険金は過失減額されて支払われることになる。
保険会社は約款に従って賠償金を支払うため、個人で裁判所基準の賠償金を要求しても応えてもらえない。交通事故の示談段階でも、裁判を起こすにしても、賠償金額を増やすには弁護士へ依頼すると良い。
交通事故の被害者が交通事故以外の原因で死亡した場合には、加害者は死亡日までを補償すればよい。
交通事故により商売上で発生した損害は、損害賠償請求することができるが、認められる範囲がある程度決まっているため、全額請求できない場合もある。
