症状固定をした後の休業補償は認められないのでしょうか?
【質問】
1年前に交通事故に遭い、3カ月入院をした後に8カ月ほど通院治療をしました。
先月、医師に言われて症状固定をして、交通事故で負った後遺症に関しては後遺障害認定の申請をしています。
症状固定する前から、3カ月間会社を休んだだけでなく、通院のために会社を休んだり遅刻して出勤したほかにも、後遺症の痛痒やめまいがひどいため会社を休んだこともあります。
症状固定する前に関しては休業補償として保険会社には請求をしているのですが、症状固定した後も体調が悪く会社を休むことがあります。
会社を休んでしまうと、当然ながら給料からひかれてしまうため、その分の休業補償の請求を今後もすることは可能なのでしょうか?
【回答】
基本的に休業補償が認められるのは、交通事故による受傷が完治するか、もしくは症状固定する前のものに限られます。
そうでなければ、一生会社を休むたびに休業補償が発生することになりますし、交通事故の後遺症が原因で会社を休んでいるのか、単なる風邪で休んでいるのか、判断がつかないからです。
そのため、症状固定をした後に交通事故の後遺症により会社を休んだとしても、休業補償を受けることはできません。
仮に症状固定後~示談成立の間であったとしても、休業補償が支払われることはありません。
症状固定時に後遺症が認められ、損害保険料率算出機構から後遺障害認定されると、後遺障害慰謝料が支払われます。
後遺障害慰謝料は、「交通事故が原因で負った後遺障害に対して、将来的に生じる不利益に対しての慰謝料」という側面があります。
また、後遺障害認定がされると、後遺障害等級に応じた後遺障害逸失利益が認められます。
後遺障害逸失利益とは、後遺障害を負ったことにより仕事をするのに支障がでて、その分収入が減った分に対する慰謝料になります。
つまり、後遺障害逸失利益は示談成立後の将来的な後遺症の慰謝料になりますので、後遺症の症状がひどく会社を休んだことによる休業補償も、後遺障害逸失利益の中に含まれると考えられます。
このように後遺症がある場合には、将来的な不利益に対する補償も考えて示談する必要があるため、示談内容に疑問がある場合には、弁護士などの交通事故の示談交渉に精通した専門家に、示談の内容をチェックしてもらう方が良いでしょう。
場合によっては、示談金の再計算や保険会社との交渉を弁護士に任せた方が、保険金の大幅な上昇につながることもありますので、併せて検討をしたほうが良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故の後遺障害認定に不満がある場合には、異議申し立てをすることができるが、書類の内容が良くないと異議申し立てが通らない事の方が多い。
交通事故に遭い、仕事を休むことになり収入的に厳しい場合、仮払金を請求すれば先払いしてもらえる可能性がある。交通事故が原因で生活が苦しい場合には一度、希望を伝えてみるのが良い。
交通事故の怪我は、場合によって医師に信用してもらえない場合がある。むち打ちがその例で、信用してもらえないと通院慰謝料をもらえない。状況に応じて、弁護士に相談すると良い。
内縁関係の相手が交通事故で死亡した場合には、遺族慰謝料や扶養権利に基づく請求をすることができるが、大前提として内縁関係の証明が必要になる。
交通事故において、相手の保険会社と示談交渉でスムーズに対応するには、弁護士を雇うのが効果的である。加害者側とのやりとりをするという精神的な不安も軽減できるため、専門家の力を借りるべきである。