交通事故の加害者とした示談内容でも保険金を受け取れる?
【質問】
歩行者対自動車の交通事故に巻き込まれました。
私は歩行者だったため過失がなく、加害者の保険会社の担当と治療費などについて話し合いをしてきました。
しかし、この保険会社の担当が、信用できません。
約束の時間通り来ないことに始まり、電話で連絡すると言っていたのに忘れていたり、担当のミスのせいで書類を書き直したりと散々迷惑をかけられています。
相手の保険会社の上司にもクレームを入れているのですが、改善されることも担当を変えてくれることもなく、さらに態度も悪いため、この担当と示談交渉をしたくないとずっと思っていました。
たまたま、交通事故の加害者の人が会社の取引先の人で、何度か顔を合わせて話をしたことがあるのですが、温和で丁寧な人なので加害者ではありますが悪い気はしていません。
加害者の人には保険会社の担当の対応の悪さを言っているのですが、加害者の人も担当を変えろとは言いづらいらしく、困っているそうです。
私としては保険の担当と話をするよりも、加害者と話し合って示談したいと思っているくらいなのです。
もし、加害者との間で示談をした場合、示談書の内容通りの保険金額を保険会社が支払ってくれるのでしょうか?
【回答】
保険会社が示談交渉に介入する際に、保険加入者に必ず伝えることが、「交通事故の相手に勝手に会ったり、示談交渉しない」ということです。
そもそも示談は、当事者同士の合意があれば0円でも1億円でも好きな内容で示談することができます。
しかし、あまりにも高額な示談内容では相手が払いきれるか疑問ですし、0円であれば被害者なのに治療費などを負担しなければいけないため、あまりにも不条理です。
そのため、保険会社では治療費・休業補償など各々の項目に関して、保険会社独自の計算方法で示談金を算出しています。
つまり、保険の素人が口出しして示談を勝手にしてしまうというのは、保険会社にとって一番面倒だということです。
しかも、実際にお金を払うのは保険会社になりますので、「保険会社を無視して、被害者と加害者で勝手に示談するのならば、保険会社は保険金を支払いません」ということになります。
保険会社の担当との交渉がうまくいかない場合でも、勝手に加害者と示談交渉をするのは、避けた方が良いということになります。
どうしても、保険会社がきちんと対応してくれない時には、「ちゃんと対応をしてくれない場合には、弁護士を雇って対応させていただきます」と伝えた方が良いでしょう。
保険会社は法律の専門家である弁護士の介入を嫌いますので、弁護士の介入を告げるだけでも改善する可能性があります。
それでも改善しない場合には、本当に弁護士を雇って対応させた方が良いでしょう。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
交通事故で保険会社との示談交渉が進まない場合に、加害者に直接連絡をしても法的に問題はないが、損害賠償金を支払うのは保険会社なので効果的ではない。
交通事故で労災が使える場合には、自動車保険だけで補償してもらうよりも、労災と併せて補償してもらう方が、手厚く補償してもらえる。
交通事故の被害者からの過剰な要求は、加害者と言えども要求に応じる必要はないため、保険会社が介入しているのならば、保険会社に対応してもらうと良い。
加害者が加入している保険の上限額が、交通事故による損害額を大幅に超える場合には、保険会社が示談から撤退する可能性がある。
交通事故の交渉で、「示談」「調停」「裁判」の違いは、示談は当事者同士の話し合い、調停は話し合いの場に裁判所の調停委員が立ち会う、裁判は文字通り裁判で内容を決めることを言う。