交通事故による第三者に対する損害補償はどうなる?
【質問】
交差点で、自動車同士の衝突事故を起こしました。
交通事故の状況は私が青信号で直進していたところ、対向車が無理に右折をしようとしたため、私の自動車の右側面に衝突しました。
その拍子に私の自動車が斜めに弾き飛ばされて、信号待ちしていた歩行者に追突してしまいました。
私と相手方の運転手は軽いむち打ちくらいで済みましたが、歩行者の方は足の骨を折る重傷で、しばらくは入院が必要だと言われました。
事故の過失割合は1:9ですが、私は加入している保険会社を通して加害者と直接話し合いをしています。
ですが、相手が「自動車同士の交通事故に関しては1:9かもしれないが、歩行者を轢いたのはそっちだから、こちらが歩行者の治療費を支払う必要がない」と、言いだしました。
保険会社も対応に苦慮しているらしく、話し合いは平行線をたどっています。
このように交通事故の当事者以外の第三者に対する損害は、損害を直接的に与えたものだけに責任があるのでしょうか?
それとも第三者への損害を与えることになった原因を作った者に責任があるのでしょうか?
【回答】
交通事故の場合、直接的な加害者と被害者の他に、第三者に被害が及ぶことがあります。
「自動車同士の接触事故でハンドル操作を誤り、歩行者をはねてしまった」「交通事故の衝撃で民家の壁に突っ込んで壁を破壊した」と、第三者や第三者の所有物に損害を与えることがままあります。
この場合、第三者に対する損害賠償は過失割合に準ずることになります。
質問者のケースでは過失割合が1:9ということですので、歩行者の治療費などの損害賠償の総額が500万円とすれば、質問者の負担は50万円ということになります。
被害を受けた第三者の立場からすると、質問者に50万円、加害者に450万円を請求することになるのですが、加害者が自動車保険に加入していない場合には難航する可能性があります。
ただ、交通事故の被害者保護の観点から、保険会社がいったん第三者に対しての保険金を支払い、保険会社が立て替えた分を加害者に直接請求することも、稀ですがありえます。
第三者に対する補償がどうなっているか心配なのであれば、保険会社に確認をしてみると良いでしょう。
また、加害者の言い分は裁判では通らないため、保険会社が対処に苦慮している場合には、保険会社自体が弁護士を雇い加害者との対応をする可能性は大いにありますので、その点も併せて保険会社に問い合わせをしてみることをお勧めします。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
保険会社自身が交通事故の解決のために弁護士に依頼するのは、交通事故の調査のほかに、契約者もしくは相手側に問題があることがある。
玉突き事故の場合、最後尾の車両の過失割合が100%となることが基本であるが、先頭車両の急ブレーキなどの過失がある場合には、過失割合が変わることがある。
交通事故の被害者からの過剰な要求は、加害者と言えども要求に応じる必要はないため、保険会社が介入しているのならば、保険会社に対応してもらうと良い。
交通事故で入院した場合、医師から治療の必要性により指示があるなどでないと、個室利用料を加害者に対して請求することはできない。
交通事故で加害者が複数いる場合には、共同不法行為の考えから加害者の一人に対して全額の損害賠償請求をすることができる。