助手席の人が開けたドアで交通事故。運転手にも罪が!?
【質問】
自宅に遊びに来た友人と話が盛り上がり、帰りの電車の時間に間に合いそうになかったため、私の車で友人の家まで送り届けることにしました。
友人の家の近くのコンビニの前でたまたま赤信号で止まった際に、「コンビニで買い物してから帰るからここで降りる」と言いだし、ドアを急に開けました。
そうすると走ってきたバイクが開けたドアに衝突し、バイクの運転手は腰骨を折る大怪我を負いました。
警察が来て交通事故の検分をしてくれたのですが、その時に運転手にも行政処分があると聞かされびっくりしました。
交通事故の原因は、友人がちゃんと確認もせずに自動車のドアを開けたことですから、友人が全部の責任を負うべきだと思います。
友人も初めは私に謝っていて、「バイクの人の治療費なんかはどうしよう」とおろおろしていたのに、警察の言葉を聞いてからは「自動車保険を使って、治療費を払ってくれる?」と言いだし、腹立たしさでいっぱいです。
助手席の人間がドアを開けたことにより交通事故になったのに、本当に運転手も責任を負わなければいけないのでしょうか?
【回答】
駐車中の自動車のドアが開き、そこに自転車やバイク・自動車などが衝突する交通事故は、思ったより多くあります。
代表的なものがタクシーで、運転手がよく確認せずに客の乗降のためにドアを開けて、そこにバイクが衝突すると言う事があります。
駐車中の自動車のドアが開いたことによる交通事故は、基本的には開けた側、つまり駐車中の自動車の方が100%の過失になります。
なぜならば、路上駐車中の自動車のドアを開ける際には十分な安全確認が必要となるからです。
実際の手順を説明すると、サイドミラーで後続車がいないか確認する・後ろを振り返って目視で確認する・安全を確認してドアを10㎝ほど開けて後続車にドアを開ける合図を送る・後ろを目視で安全を確認しつつゆっくりとドアを開ける、となります。
現実にこれだけの手順を踏んでドアを開けている人は少ないため、ドアに衝突する交通事故が起こった場合には、ドアを開けた人間に重過失傷害罪が科されることになります。
では、運転手の責任はどうかと言うと、過失運転傷害罪が科されます。
運転手は自動車を運転している間は、自動車に対して安全確認義務がありますので、同乗者に対しても安全確認を促さなければいけません。
そのため、同乗者が原因で起こった交通事故であっても、連帯責任で責任を負うことになります。
通常の自動車保険では、被害者保護のために同乗者が原因の交通事故に対しても、被害者に対して損害賠償金を支払います。
質問者の場合、自動車保険に加入しているのでしたら自動車保険から、自賠責にしか加入していないのでしたら自賠責保険から被害者に治療費などが支払われます。
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自動車に無償で同乗する好意同乗であっても、近年では好意同乗を理由に同乗者への減額はされない傾向が高い。
交通事故の治療費は、過失割合によってはいったん自己負担した後、示談時に清算されることがある。その場合負担が大きいため、健康保険や高額医療費制度を活用すると良い。
自損した交通事故では同乗者の妻の治療費であっても、自賠責保険では治療費が支払われるが、任意保険の対人賠償保険は支払われない。
交通事故の同乗者は運転手に対して損害賠償請求ができるが、運転手に危険運転をそそのかしたり、運転手が正常な運転ができないことを知っていた場合には、請求金額が減額される。
交通事故の同乗者であっても、危険運転致死傷幇助罪に問われると、事故の責任を負わなければいけないため、相手側から損害賠償請求を受けることがある。