夫と夫の父が同時に死亡の交通事故!相続はどうなる?
【質問】
夫と夫の父親が自動車で渓流釣りに行く途中、山道でセンターラインをオーバーしてきた自動車と衝突しました。
警察と救急車が交通事故現場に駆け付けたのですが、夫の父の方は交通事故現場で死亡が確認され、夫は病院に運ばれた後に治療が施されましたが、2時間後に死亡しました。
先日、主人の母とともに葬儀を行ったのですが、そこに数年来会っていなかった妹が葬儀に訪れました。
その席で、「父さんと兄さんは同時に亡くなったから、父さんの遺産は私と母さんとで半分ずつね。」と言い放ったため、主人の母は激怒して塩をまいて追い返し、私は恥ずかしながら息子の胸で泣いてしまいました。
その顛末を見ていた叔父が、主人の母をなだめてはくれたのですが、「そういえば、同時に死んだ場合には、普通の相続にならないと聞いたことがあるから、妹が言っていたことはあながち嘘ではないかもしれないよ。」と言われすごく不安になりました。
主人の母も不安で仕方ないらしく、夫と息子を同時に亡くした心労と重なり、入院してしまいました。
父と子が同時に亡くなった場合には、本当に普通の相続にならないのでしょうか?
【回答】
交通事故や船の沈没・火災などで、相続人同士となりうる関係のものが同時に死亡した場合や死亡日時がはっきりせず同時に亡くなったと推測される場合には、お互いが相続人となる事が出来ません。
質問者様の場合、夫の父だけが亡くなった場合には、相続人は夫の母(1/2)・夫(1/4)・夫の妹(1/4)となります。(カッコ内は法定相続割合)
しかし、夫と夫の父が同時に死亡したと認定されると、夫は父親の相続人とはなれないため、夫の母(1/2)と夫の妹(1/2)が相続することになります。
ですが、質問者と夫の間には息子がいらっしゃるみたいですので、一人息子だと仮定すると、その一人息子に夫の代わりに相続人となる「代襲相続」が発生します。
そのため、相続割合は夫の母(1/2)・息子(1/4)・夫の妹(1/4)となります。
このことから、夫の妹が言っている相続割合は間違いで、あることが分かります。
また、同時に死亡と言っていますが、同日であっても一分でも遅く死亡確認がされていれば死亡の順に相続が発生するため、もともとの前提が間違っていることになります。
つまり、質問者の場合には夫が夫の父の遺産を受け継いだ後に、夫の相続が質問者と息子でされます。
保険金の請求権にも当てはまり、夫の父の請求権に関しても夫の母(1/2)・息子(1/4)・夫の妹(1/4)となります。
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