むち打ちとPTSDについて
むち打ちは、症状が長引き、ときには後遺症が残ることがあります。
むち打ちが原因の後遺症は、症状固定をして後遺障害等級の認定申請をします。
しかし、交通事故による身体的な損害は、はっきりとした外傷だけではありません。
交通事故に遭ったショックにより、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつ病を発症することがあります。
PTSDは、命がおびやかされるほどの恐怖を経験することで受けた強い精神的なストレスが原因で、恐怖の経験をしてから相当の月日が経っても、その記憶がよみがえってパニックになる、常に不安や緊張を感じるほか、不眠、動悸、めまい、食欲不振などの症状が現れます。
PTSDの原因となるのは、天災、犯罪、虐待、戦争、事故などが挙げられます。つまり、交通事故は、PTSDの原因となりうるのです。
PTSD発症に対する慰謝料請求は可能?
むち打ちの被害に遭われた被害者は、怪我の治療にめどがついたら、保険会社と損害賠償について協議を開始しますが、損害項目のうち、慰謝料についても話し合うことになります。
後遺症が残り、むち打ちが後遺障害認定された場合は、後遺障害慰謝料、むち打ちが完治した場合は、入通院慰謝料を請求します。
PTSDは、非器質性(ひきしつせい)精神障害に分類される精神疾患と定義されています。
非器質性とは、脳など精神に影響する組織に損傷を伴わないという意味です。
実際は、患者さんには精神疾患があるのですから、人体になんらかの異変が生じていると考えられますが、脳のMRI検査などを行っても、画像所見を見る限り、異変を証明できないため、非器質性という名称を与えられているのです。
むち打ちは外傷ですから、PTSDで後遺症が残る場合は、むち打ちによる後遺症とは別に判定をすることになります。
精神疾患に関する後遺障害等級は、精神症状と能力により判定します。
自賠責保険による後遺障害等級では、精神疾患による後遺障害の認定は、9級、12級、14級のいずれかです。
また後遺障害等級の審査は、書類審査なので、いかに客観的事実を積み重ねて説得力のある申請書を作るかが、後遺障害等級認定のポイントとなります。
非器質性の精神障害の後遺障害は、自覚症状を中心とした申請に対する審査となるので、認定のハードルは非常に高いと考えてください。
交通事故に詳しい弁護士は、むち打ちを発症し、事故によるPTSDにも悩んでいる被害者の事案を数多く担当しているので、後遺障害等級認定や慰謝料について弁護士にご相談されることをお勧めします。
この記事を読まれた方にオススメの情報5選
むち打ちの示談であっても、弁護士に依頼するのとそうでないかで数十万円の差が生じるため、弁護士費用のことも含めて弁護士に依頼する方が良い。
むち打ちの後遺障害認定が非該当とされた場合には、異議申し立てをして再審査してもらうことができるが、認定されるのは非常に難しい。
後遺障害は、自賠責保険会社が申請書類を審査して等級を決定しますが、後遺障害等級表には、むち打ちという項目はありません。神経症状が残る場合、むち打ちが後遺障害として認定されます。
交通事故のむち打ちで後遺障害認定がされたとしても、逸失利益が全額認められるとは限らず、場合によっては逸失利益がもらえないケースもある。
むち打ちの治療で通院した場合には通院慰謝料が支払われるが、自賠責基準と判例基準では計算が変わることもあり、弁護士が介入して交渉できる余地があるケースがある。