むち打ちになった程度の交通事故でも処罰があるの?
交通事故の怪我で「むち打ちだけで、他は怪我を負っていない」と聞くと、「むち打ち程度の交通事故ならばたいしたことがない」と、思ってしまう人が多くいます。
しかし中には、交通事故の数カ月後に免許停止の通知が来て、大慌てになる人もいます。
交通事故には大きく分けて、物が壊れる「物損事故」と、人が怪我や死亡をする「人身事故」があります。
物損事故や人身事故だけが起こることもありますが、物損事故と人身事故の両方が発生することもあります。
物損事故だけの場合には、道路交通法違反ではないので刑事罰も行政罰も発生せず、罰金や免許証の罰点が加点されることはありません。
(ただし、警察に通報しなかったり、壊したまま逃げたり、無免許・飲酒運転の場合には処罰の対象になります)
物損事故の場合には壊した物に対する損害賠償責任は生じますが、刑事的な罪に問われることはありません。
むち打ちでも立派な人身事故扱いに
一方で、人が怪我や死亡する人身事故では、厳しい処罰が待っています。
自動車事故であるために軽く考えがちですが、実生活で考えると傷害罪や過失致死罪に当たるため、刑事罰に加えて行政罰である免許の罰点が加算されます。
交通事故の場合には、まず「安全運転注意義務違反」の罰点2点が加算され、怪我をした相手方の怪我や過失により変わりますが2~11点の罰点が加算されます。
「交通事故相手のむち打ちが1週間くらいで治ったので、大したことがなくてよかった」と思っていても、最低でも4点の罰点が加算されることになります。
もし、交通事故時に駐車違反やスピード違反などで2点以上の罰点があった場合には、免許停止以上の処罰となる6点を超えてしまうため、たとえ軽度のむち打ち程度の交通事故であっても、免許停止は避けられないという事になります。
むち打ちの治療は短期であることもありますが、場合によっては1カ月以上にわたることもあります。
むち打ちを負わせた交通事故に対する刑事罰の多くは罰金刑となるのですが、治療期間が15日未満の軽微な事故であっても罰金は12~20万円で、治療期間が3カ月以上で後遺症が残る人身事故ならば罰金は最大50万円になります。
例えむち打ちだけで済んだ交通事故であっても、罰金刑などの刑事罰や免許停止などの行政罰は避けて通ることはできないため、もし交通事故の加害者となり相手方がむち打ちだけで済んだとしても、処罰を軽く考えてはいけません。
特に、タクシーやトラック運転手など、免許の有無が収入に直結する職業であれば、さらに注意が必要になります。
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交通事故ではむち打ちといった軽微でも身体的な傷害を相手方に与えてしまっているので物損事故ではなく人身事故扱いとなるため、治療期間に応じた罰金や罰則が科せられ、免許停止などもあり得る。
軽い事故だからと物損事故で済ませて、後にむち打ちなどの症状が出ても、人身事故に切り替える際に問題が生じる場合もあるため、事前に人身事故になる可能性もあると相手方に伝えておく方が良い。
たとえ、交通事故の傷害がむち打ちだけであっても、人身事故で処理をしてしまった交通事故は、物損事故にすることはほぼ不可能である。
軽度の交通事故であっても『警察に交通事故を通報。むち打ちの症状が出たら即病院に行き、医師の指示に従い通院を続ける。』という事をしないと、加害者に治療費などを請求できなくなる。
むち打ちは交通事故から数日後に症状が出ると言われるわけは、事故後すぐ手当をしないで時間が経過し、しばらくして症状が悪化してから、ようやくむち打ちを発症していることに気付くことが多いためである。